[反貧困] 2010年・フリーターメーデー特集 棄民の想像力─逆襲の棄民〜パンドラの箱が開く
東京・自由と生存のメーデー’10
セーフティネットは網である。網の内側と外側を隔てる分離壁である。張られた網は、その内側にあることの資格を問うものとなる。それを踏まえて声を上げることが、6回目となる「自由と生存のメーデー」のテーマとなった。
初日は、200名が参加するセーフティネットをめぐる討論集会。キーワードはベーシックインカム(基本所得)、従来の労働の定義を見直すことで、労働と生活との関係を作りなおす概念装置だ。
まず田野新一(フリーター全般労働組合共同代表)が雇用の状況について、雨宮処凛(反貧困ネットワーク副代表)が第二のセーフティネットについて報告。
その後に、生活保護申請ビデオ撮影によって起訴されて裁判闘争を闘うA君と、それを支える橋口昌治(ユニオンぼちぼち委員長)が生活保護の現状について、曽我逸郎(長野県中川村村長)が地方と都市との関係の現状について、堅田香緒里(ベーシック・インカム日本ネットワーク)が家族とベーシックインカムについて報告し、パネル討論を行った。
続いて水商売、映像、アパレル、IT、警備業、障害者介助、NPOなどで働く人々が現状を話し合った。
ともすれば、理不尽な慣習や悲惨な条件にのみ焦点が当てられがちである。だが、「外にあるゆえに見えてくる可能性から社会を展望しよう」という趣旨である。
最後に「宮下公園のナイキ化に反対する会」と「麻生邸リアリティツアー事件国賠訴訟団」から逆襲のアピールを受け、6時間にわたる集会は終了した。
サウンドデモとムービーメーデー
翌5月3日は、2部にわたるサウンドデモ。
出発地となった新宿中央公園では、「対都行動を闘う全都野宿労働者実行委員会(全都実)」が共同炊事を行っている。メーデー実行委員会でも、昼から野宿者の仲間とともに共同炊事に参加してカレーを作り、一緒に食べながら交流した。
デモ前の集会では、各地で独立系メーデーに取り組んだ仲間からのアピールに加え、福島瑞穂さん(社会民主党党首)、「かりん燈〜万人の所得保障を目指す介助者の会・関東」(仮)からのアピールを受けた。
デモは、およそ350名の参加。新宿中央公園から新宿駅西口で一度解散し、アルタ前に集まりなおして、歌舞伎町、コマ劇場前をめぐって新宿駅東口駅前に戻った。
5月4日は、ムービーメーデーが阿佐ヶ谷ロフトAで行われた。「普通の仕事がしたい」(土屋トカチ監督)を上映し、阿佐ヶ谷で不当解雇にあった映写技師の方をまねき、映像労働者の現状を考えるシンポジウムが開催された。