更新日:2010/05/03(月)
[海外] 破綻し始めた米・イスラエル外交
ブラジル・ルラ大統領の中東外交
中南米諸国が、米国・イスラエルのパレスチナ政策や対イラン経済制裁を批判しながら、中東諸国との連携を強める独自外交を展開している。左派政権が多数を占める中南米諸国は、米国流グローバリズムと一線を引き、メルコスール(中南米共同市場)のような独自の経済圏を形成してきたが、政治的にも中東諸国と連携を模索。米国・イスラエルは危機感を強める。
09年11月、アフマディネジャド大統領が、イランの指導者として初めてブラジルを訪問した。首脳会談前日、オバマ大統領が「核問題に触れるな」との書簡をブラジル・ルーラ大統領に送ったが、ルーラは「平和目的の開発はイランの権利」として、制裁への反対を表明。
その2日前には、パレスチナ自治政府のアッバス議長がブラジルを訪問し、ルーラ大統領と会談。ルーラは、パレスチナ建国支持とともに、イスラエルによる入植地建設への非難を表明し、米欧とは一線を画した中東問題への関与を鮮明にした。
06年2月、イスラエルはメルコスールとの自由貿易協定締結に向けて交渉を始めたが、議長国ブラジルにより延期される、という経緯もあった。イスラエルによるレバノン侵攻への抗議だといわれた。
ブラジルは、中国の資源供給国として、劇的な経済復興を果たした。中南米左派政権のとりまとめ役であるブラジルが、中東イスラム諸国との協調体制構築に動き始めたことは、米国・イスラエルに深刻な危機感を与えている。
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