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▲上・街頭で投石するパレスチナの若者。中・東エルサレムでは、家屋破壊が日常化している。下・イスラム教第3の聖地・アルアクサ寺院
更新日:2010/05/03(月)

[海外] パレスチナ/第3次インティファーダの始まりか
──3月23日 足立正生

イスラエルの挑発

パレスチナでは、「エルサレムを守れ!」と叫ぶ若者たちのデモが、3月12日から全土に広がり始めた。これを、第3次インテイファーダ(石礫の蜂起)の開始だ、と人々が語り交わしている。

イスラエル占領軍は、そのデモ隊に向かって「鉄拳制裁」の名の下に、催涙弾とゴム弾だけでなく、実弾銃撃を開始した。それでも、エルサレムやナブルス、ラマラなどの都市部、そしてイスラエル占領下の市町村で若者たちの蜂起が始まり、これまでに銃撃の死者4名、負傷者300名を出しても勢いは収まらない。

その理由は、イスラエルのネタンヤフ首相が、占領中の東エルサレム(アラブ領地)に1600戸の入植住宅の建設開始を行うと発表したからだ。それも、イスラエルとパレスチナによる間接和平協議の再開を促すために、米国副大統領が到着した面前で行われた。

米国やEU、国連をはじめとする国際政治母体は、「占領地への入植地の建設禁止」の国連決議を無視した行動に非難の声を発し、モスクワではカルテット(和平会議のスポンサー4者=国連、EU、米、ロ)が緊急会談を開き、イスラエルに対し「入植住宅建設の凍結」を実行するよう決議した。

この国際政治の動向は、パレスチナの人々にとって何の意味があるのか。パレスチナ各地の若者たちが、デモをやめないのは何故か。

パレスチナの人々は、ネタンヤフ首相が「首都ハイファへの住宅建設と同じ都市計画だ」(21日、閣議での発言)と主張し、最大のイスラエルのスポンサーである米国のAIPACの年次集会では、「エルサレムはイスラエルの不可分の首都であり、入植地の建設ではない」(22日、米国での演説)と嘯いている現実を見ている。

これまで、いかなる国際政治母体も、カルテットも、イスラエルのパレスチナ占領地略取の野望を止めるための何ら実効的な手段を取らないできた。しかも、イスラエルはいかなる国連決議も無視してきたし、米国政府は「拒否権」を行使してイスラエルを庇い、常に国連決議を棚上げさせて、今日に至っている。

今回も、デモの若者たちは、この国際政治の動向を知り抜いている。いや、知っているだけではなく、米国―イスラエルの戦略同盟がパレスチナの解放を先延ばし続けていること、そして国際政治がそれを許し続けていることを見抜いている。

いかなる国や国際機関といえども、外部の政治的な影響力がイスラエルの政策変更をもたらすことは期待していないし、溜まりに溜まった占領抑圧への怒りを爆発させて、石礫で占領軍に反抗しているのだ。

デモを禁止する自治政府

パレスチナ自治政府は、暴動化するデモが和平交渉再開の障害になることを恐れ、全土にデモ禁止を発令した。

しかし、逆に武装解除していた民兵組織が武器の返還を要求し、自治政府の母体党派ファタハの武装組織「アルアクサ殉教旅団」も、2年半にわたって「全面封鎖」されているガザ地区からロケット弾を発射させた。特にガザ地区では、破壊された家屋の建設物資だけでなく、医薬品や食料すら欠乏し、貧困と飢えが蔓延する「耐え難いレベルに達している」(20日、現地を訪問したバン国連総長の談話)という情況で、第3次インテイファーダへの高揚が止まない理由こそが整っている。

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