[社会] 国際メガバンク(シティコープ・JPモルガン・ロイズ銀行)の悪どい儲けの手口
独裁政権利用し借金漬け 憲法も変えさせて優先返済迫った国際金融強盗団
「借金漬けにして、娘を寝取る悪徳高利貸し」。安っぽい時代劇に出てくるような話が、現代に甦っている。その悪役たちは、名だたる国際的金融機関だ。当初は低利でどんどん貸し込み、返せなくなると、まとめて高利の借金に借り換えさせる。しかも彼らの言う「合理化」(借り換え)のどさくさに紛れて、返済済みの借金まで上積みするという悪どさだ。
世界銀行や国際通貨基金の権威を利用し、貸し手としての強い立場で恫喝して、不当な返済条件を押しつける。彼らは、証文を積み上げて、政府予算を人質に取り、国家経済そのものを牛耳った。
3月下旬、エクアドルからデルファ・マンティラさんが、おおさか社会フォーラム海外ゲストとして来日した。エクアドルでは、08年に左派・コレア政権が成立。同政府は、先住民の権利運動をはじめとする諸社会運動の後押しのもと、大胆な社会改革に取り組む。政府がまとめた債務に関する監査報告書の内容を語ってもらった。(編集部・山田)
国家予算がサラ金地獄に
「国の発展は、帝国主義からの解放によって達せられる」―こう語るデルファさんにとって「帝国主義」とは、国際金融機関に他ならない。エクアドルは、国際銀行団によって石油資源と国家予算を吸い上げられ続けているからだ。
デルファさんは、小中学校の教師。農村から移住してきた貧しい家庭に育った。解放の神学を学んで社会問題に目覚め、今はジュビリー2000のコーディネーターとして、地域教育を主な仕事としている。
同政府がまとめた「公的債務総合監査報告書」には、同国が抱える膨大な公的債務について、その経緯・原因・問題点などがまとめられている。
この報告書を見ると、国際的メガバンクや国際金融機関が、いかに悪どく途上国から資金を吸い上げ、自分たちに都合の良い政策を押しつけてきたのか、よくわかる。それは、ヤミ金融顔負けの汚い手口だ。
この結果、エクアドルは、世界の最貧国となった。816億ドルの借金に、元本より多い1260億ドルの利子が加わり、国家予算の65%が借金返済に回されているのである。逆に、国家予算のわずか4%が医療に、12%が教育予算に回されるだけのために、「国民の50%が栄養不良となり、多くの国民が食えないために海外に出稼ぎに行っている」(デルファさん)という。
悪徳高利貸しは誰か?
エクアドルの債務は、様々な金融商品に複雑に組み込まれ、国際金融市場で取引されている。したがって、サブプライム・ローンのように、債権者は不特定多数で、その自覚さえない人も多いだろう。
しかし「シティ・バンクとJPモルガン・チェース銀行が、貸し手銀行団のとりまとめ役であり、主役だ」とデルファさんは指摘する。
2000年に「債務合理化」という名の「借り換え」が行われたが、この主要代理機関が、先述の2大金融グループだ。債務の借り換えは、それまでの借金をまとめて「グローバル債」にまとめるという形で行われた。
この「グローバル債」とは、@30年償還で金利4%から始まり毎年1%上昇(上限10%)する「グローバル債2030」と、A償還12年、固定金利12%の「グローバル債2012」の2つからなる。
さらにこの返済は、@エクアドル国家予算から優先的に支出されることとなり、A通常金利と延滞金利も「グローバル債」に転換された。つまり、金利も元本に組み入れられたのである。