[反貧困] 金融危機に抗する反失業闘争
仏・クリストフ=アギトン氏に聞く
サルコジ政権下で、新たな社会運動を模索するフランス。社会党が大きく支持を失うなか、昨年2月には「反資本主義新党」が結成された。しかし、右翼的・新自由主義的と思われていたサルコジ大統領は、社会党の一部を取り込み、国家による規制強化を打ち出すなど、「超階級的政権」としての演出も行っている。
フランスの左翼活動家=アギトンさんが昨年11月来日した。彼にフランス社会運動の現状と、政党との関係についてインタビューした。(文責・編集部)
激増する労働者の自律的反抗
フランスでも金融危機で、企業倒産や失業が大きな問題となっています。労働運動が全般的に停滞しているなかで、工場閉鎖・解雇に対する労働者の自律的な反抗が激増しています。
労働者は、いくら闘っても雇用の継続は見込めないことを知っているので、要求は、「退職手当の増額を求める」という、極めて慎ましいものです。しかしその戦術は、工場を占拠し、要求に応じなければ爆破まで主張するという過激なものです。
既成政党は、こうした闘争に戸惑っていますが、世論調査では、70%以上が支持しています。フランスには、過激な行動も含めて反乱に共感を示す伝統があることと、解雇が労働者の責任ではないことを知っているからです。このため、サルコジ政権も警察力を使って強制排除できなくなっています。
主流労働組合の支持姿勢も及び腰です。というのは、@要求が「雇用を守れ!」ではなく「金をよこせ!」であること、さらに、A戦術が過激だからです。
大労組は、「反失業」を掲げ、大規模なデモ・集会を継続していますが、直接労働者の支援に動くことはありません。こうした大労組の動きは、サルコジ政権に強硬な弾圧手段を採らせないという防衛的意味はありますが、攻勢的な意味では、悪い影響を与えています。現在の資本主義の危機を越えるための展望が、何一つ示されていないからです。このため、動員力も回を重ねるごとに減ってきています。
サルコジ政権の特徴は、3つあります。まず、右翼・ファシストの勢力を取り込んだことです。国民戦線・ルペンなどの右翼ファシストは、外国人排斥と治安強化を叫びますが、サルコジがこれを強く主張したので、ルペンは、先の選挙で大打撃を受けました。