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更新日:2010/03/29(月)

[社会] 最下層の外国人労働=研修・技能実習制度

「日本で働いた分は日本で賃金支払え」

より不安定で、権利主張も困難な外国人労働者は、経済不況のなかでどんな労働を強いられているのか? 「RINK」(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)の早崎さんに、最近の相談事例を紹介してもらった。

外国人労働者の中で階層化が進み、派遣労働者から研修・技能実習生への入れ替えが進んでいる。(編集部・山田)

「首輪」としての強制貯金

兵庫県にある包装用の箱を受注生産するメーカー。同社は、上海にも工場があり、そこで働く労働者を毎年3名ずつ「研修・技能実習生」として受け入れてきた。

この工場で、強制貯金が行われていたのである。研修・技能実習生たちへの給料は、完全出来高払い。ところが、毎月一律3万円しか支払われず、残りの給料は、積立金残高が給料明細に書かれていただけ。しかもこの給料の支払いは、「上海工場に帰って半年間働いた後」という条件までついていた。彼(女)らを中国帰国後も、上海工場につなぎ止めるための首輪である。これはもう、完全な労基法違反。

彼(女)らは、「日本で働いた分は、日本で支払って欲しい」との要求を掲げて、ユニオンに加盟。団交の結果、会社は非を認めて、給与支払いに応じた。この際、出来高払いで働かせていた以上、「研修」ではないため、最初の1年目から賃金として地域の最低賃金を基準に再計算。実際に支払われた賃金水準は最賃を下回っていたので、会社は差額も含めて支払った。

入管法改悪の先取りか?

ところが、波紋はさらに広がった。相談を受けたユニオンは、交渉がもつれて、一部技能実習生たちの在留期限切れになる恐れもあったため、入国管理局(入管)に事情を説明。在留期限の弾力的な運用を求めた。しかし、相談を受けた入管は、「悪質だ」として、会社に関係資料提出を要求。慌てた会社は、研修・技能実習生それぞれの貯金通帳を急遽作成して、それまでの未払い賃金積立金を振り込んだ。ところが、毎月定期的に振り込まれていなかったことが判明し、入管は、「賃金未払い」と判断。《研修生受け入れ停止》の処分を下したのである。

この煽りを食ったのが、研修生だ。同社が研修生受け入れ停止処分を受けたために、帰国を余儀なくされたのである。

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