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更新日:2010/03/08(月)

[コラム] 深見史/はやくやっとくれ、配偶者控除廃止、3号廃止、民法改正

なぜ普通に生きられないのか

民主党政権が崩壊するまでに、なんとしてでもやってほしいことがある。10数年棚ざらしにしてきた民法改正、女をプアな階層に留め置く謀略である、配偶者控除と国民年金第3号被保険者制度の廃止。これらさえできれば、「民主党万歳!」と何度でも叫んでやる。

もうこれ以上は嫌だ。もう待てない。「おまけ」の人生から脱するために、自分だけ頑張る、なんて生き方は嫌だ。頑張って、突破して、努力して初めてまともな人生が得られる、なんて嫌だ。結婚を前提に計画された人生を生きるのは、嫌だ。そこからはみ出た人間を演じるのも、嫌だ。

どう生きてもいい、と心から思える状況のないところでは、どうとでも生きることはできない。選ぶことができないところに、選ぶことは存在できない。選ぶことができない人生は、自分の人生ではない。

「扶養の範囲で働く」などという卑しい言葉を吐かされる存在、「奥さん届け」などという醜い言葉で「おまけ」してもらう存在。その惨めさから抜け出ようとすれば、「カガヤイテイル女」=抜きんでなければならない存在になるしかない。

これが1985年体制なんだ。女が分割された年、1985年。雇用機会均等法と派遣法と第3号が、セットになって創設された、あまりにもわかりやすい女分割の年。

お前は男並みに働け、お前は都合良く働け、お前は働かずに男を支え、子どもを生め。

そうして、女は分割され、自分で自分の生き方を選択する、などという上等なことはできなくなったのだ。これは本当のことだ。これは事実だ、あれからの年月が、その分割の無惨さをこうして示してきたではないか。女を見ればわかる。私たちはこんなにも惨めだ。

どうして普通に生きられないのか、どうして普通に豊かで、普通に貧しく、普通に頑張って、普通に力を抜いて生きていけないのか。

彼女は「貧しい母子家庭」の子だった。母はパートをかけ持ちして働いていたが、生活保護の基準を下回る収入しか得られなかった。彼女は、公的支援を得られるだけ得て高校を卒業し、奨学金の返済を行いながら働いた。幸い、希望職に就いたが、職業病を発症、退職を余儀なくされた。その後は、お約束通り、派遣、準社員、契約社員、アルバイト、という非正規労働の王道を行くことになった。

大手の契約社員になったとき、彼女はほっと一息ついて、習い事やサークル活動を始め、「自分らしい」生活がようやくできるようになった、と信じた。相変わらず貧しいけれど、やることがある、やりたいことがある、友達もいる。しかし、ほっと一安心、から一年、契約社員は契約社員でしかないことを、思いっきり思い知らされる。「経営不振のため契約更新不可」。やりたいこととやることのある生活は突然断ち切られ、「自分らしい」生活は再び彼方へと遠ざかる。

なぜ普通に生きられないのか。普通でいいのに。普通に貧しく、普通に豊かに、安心して明日を迎えられればいい、と願っているだけなのに。

「自分らしく」いるためには、「カガヤイテイル女」であるか、「大人一人をカガヤカセルことができる男の妻であるか」しかない。それができない女は、明日をおびえながら生きるしかないのか。なぜだ。なぜだ。なぜだ。

一個の人間として普通に働かせろ。配偶者控除と第3号と派遣労働を廃止しろ。

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