更新日:2010/03/01(月)
[反貧困] 一人暮らしを始めた(脳性マヒ)Dさんの就職
──北山通
「自立」「働く」とは何だろう?
Dさんは、30歳半ば、脳性まひの男性である。僕との出会いは5年前。「同居の母親の再婚を機に、一人暮らしを始める」という。障がい者支援センターからの紹介で、週2回の起床介助と家事援助に入らせてもらうことになった。
生活保護の手続きを取り、最低限の収入の目処を立て、まず部屋探し。車椅子なので、エレベーターは必要だ。6畳一間のワンルームマンションを見つけたが、家主との取り決めで、室内での車椅子は禁止。室内に入るのに、車椅子から転がるように降りなければならなかった。
自宅から持ってきた最低限の家具以外、何もない。限られた収入の中、近所のスーパーを巡り、特売の食品を買う生活を続けた。
そのうち、一人暮らしにも慣れてきた彼は、作業所に通い始めた。パソコンを使って印刷版下などを作成している作業所である。もともと社交的な彼は、作業所での仲間づくりもうまくやっていた。
しかし、「指導員」という名の健常者と障がい者の関係の中だけで生きていくことに飽き足らなくなった彼は、一般就労の道を探り始めたのである。
「100年に一度」と言われている大不況、リストラされ職を求める人、ボロボロにされながら職にしがみついている人があふれている今のご時世である。
怠け者の僕は、「なんで一般就労なん?」「自立支援法に踊らされているんじゃないの?」なんて茶々を入れながら、彼の動きを見守っていた。
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