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更新日:2010/01/25(月)

[政治] 母子加算は復活したが…
──中野冬美(しんぐるまざーずフォーラム関西)

希望の継続を!

新政権となって3ヵ月が過ぎた。これまでの政権下では現われてこなかったさまざまな膿が(これでも氷山の一角だろうけど)あふれてきている。もしかしたら、と、ついつい期待してしまう。

新政権発足直後に開催された院内集会では(母子加算、老齢加算の復活などを主軸としていた)出席議員のやる気が、これまでとは全く異なっていたことが印象的だった。そして、ついに母子加算が復活。そんなこんなが、この期待に拍車をかけている。

が、しかし。そもそも母子加算は、廃止すべきではなかったのだ。復活したことは新政権の成果であろうが、当事者にしてみれば、ぎりぎりの生活の中で不安を増大させられただけにすぎない。しかも、来年度以降、母子加算への予算措置はしないらしいというマスコミ報道もあり、当事者団体としても急遽申し入れ行動を行うなどしているが、全く安心できない状況である。

生活保護を受けている母子家庭の半数は、働いているのである。働いてもなお、生活保護基準に満たないのだ。

母子家庭の母の就労が困難なのは、彼女たちの責任ではない。女性の賃金が男性の半分程度しかないこと、結婚や出産で仕事を辞めざるを得ず、いざ母子家庭になったときは無職から再就職をしなければならないこと、そして子育て支援の不備などが相まって、安定した収入を得ることができないのである。問題は、女性を、低賃金、性別役割分業に落とし込める性差別に他ならない。

働いていない母子家庭も、前政権下の厚生労働大臣が吐いた暴言のように怠け者かというと、もちろんそうではない。DVの後遺症や病気の子どもを抱えていたりして、働きたくても働けないのだ。それもまた性差別と社会保障の不備がなせるわざである。

母子加算復活は、どん底のマイナスが少しのマイナスになったというだけの話である。

母子家庭はしんどくて当たり前?

母子加算が復活したというニュースが入った数日後、私たちの団体に一通のFAXが届いた。匿名で、「シングルマザーは男から養育費を搾り取る害悪である。母子加算なんかやる必要はない。他の人はそんなものなくても頑張っている。そのぐらい、パートにでも出て稼げ」というものだった(ちなみに養育費を受け取っている母子家庭は全体の2割に満たない)。「母子家庭にしかもらえない」経済給付は、それ以外の人(特にその人が「お上の援助」など受けずに頑張っていると思っている場合には)にとっては、怒りの対象となるのである。その底には、母子家庭は自分よりしんどくて当たり前という、母子家庭に対する差別と偏見のまなざしがある。

母子家庭に対するまなざしは厳しい。多くが保護基準以下の収入しかないにもかかわらず、生活保護を受給している母子家庭が全体の2割に満たないのも、一つにはこれ以上の偏見を怖れるからである。

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