[反貧困] 仕事作り通して地域の「絆」を再建
──安賢二(労協センター事業団関西)
「人と地域に役立つ仕事」とは
労協センター事業団は、「失業を無くせ」という失業者・労働運動、大衆運動から出発しました。そして、「失業を無くす」ことを誰かに求めるのではなく、自分たちで働く場を創り出そうと模索を始めました。この出発が、「働く者がお金を出し合い、経営責任を持って民主的に経営し、人と地域に役立つ仕事を起こす」=労働者協同組合の礎です。
「人と地域に役立つ仕事」とは、自分たちが「地域に必要な存在になろう」と自覚し、行動することです。労働者自身が市民としての自覚に目覚め、「地域を担う」存在として、輪を広げていく「社会連帯」を行っていくことなのです。
私たちの事業・活動は、参加する労働者・市民が主体となって、人間的な発達を遂げつつ、労働と地域を豊かに再生していく「協同労働運動」です。
新政権誕生と労協法の制定
私たちは、「協同労働の協同組合法」制定のために、地方議会における意見書採択行動に取り組んできました。現在、702議会の意見書採択となっています。09年2月には超党派の議員連盟も結成され、夏の衆院選を経ても、200名近い議員が加盟しています。この動きは、政権交代という激動に揺るぎもせず、むしろ熱の高まりは最高潮に達しています。協同労働法制化運動は、思想・信条を超え、私たちや、地域の人々が変革に立ち上がるという、期待そのものです。
新政権の誕生は、市民の力が日本社会の閉塞感を打開し、社会を変えることができることを示しました。新政権は、政権交代を実現したのは市民の力であることを自覚しなければなりません。そして、市民(国民)に向けての本当に必要な施策を策定、実行していくことが当然に求められています。
新政権にとって、「民意」は、政権交代の実現でいったん消化されたものと理解しなければなりません。そして、新政権はその施策の結果を出し、国民に成果を示すことにより、新たな「民意」を得ることができると自覚する必要があります。
昨年末の派遣村の誕生という象徴的な出来事の後、事態はさらに深刻になってきています。大量失業、大量倒産、恐慌の予兆が深まっています。この危機的な状況に対して、失業をなくすことや地域を再生させる取り組みに繋がる施策で結果を出さなければなりません。