[社会] 過激化する「新」右翼 在特会といかに対峙するか
──釜ヶ崎労働者・柳田孝太
求められる排外主義に対する姿勢
「在日特権を許さない市民の会」、「主権回復を目指す会」などの排外主義的諸勢力の質的変化に注意を向ける必要がある。
これまで彼(女)らに対する評価は、社会現象として把握され、社会的背景に重点がおかれてきた。その内容は、「経済不況。非正規雇用の増大。青年心理」等々だ。「放っておけば自滅する」というような言説さえ見受けられた。しかし、こうした評価でもはや在特会等の能動性と直接的対峙することは困難だ。在特会との対決を通して排外主義に対するという姿勢が求められている。
9月27日に行われた「外国人参政権反対秋葉原デモ」を転換点として、在特会の運動―組織方針には、質的変化が見られる。750人の動員を実現した9・27秋葉原デモは、従来の彼等の路線のピークであったと言えよう。従来の路線とは、戦後民主主義の後退、保守的潮流の台頭を条件とした排外主義運動の「市民権」獲得運動ともいうべき性格を帯びたものであった。
合法性を前面に押し出し、インターネットを組織化のツールとしてきた。しかし、このデモの最中、沿道で抗議のプラカードを掲げて立っていた一名の抗議者に対し、在特会デモ隊が襲いかかるという集団リンチ事件が発生する。この集団リンチ事件を単なる暴発と捉えるのは誤りだろう。在特会の4・11カルデロンさん一家排斥デモ以降、彼等の動きに対抗する社会的勢力が形成されてきた。こことの対抗関係の中で彼等の運動内に急進的部分が形成されてきただろうことは想像するに難くない。「9・27集団リンチ」は蓋然性を内包した暴発として見るべきだろう。
京都・朝鮮学校児童への暴力
9・27以降、とりわけ関西圏において彼等の暴力行為が続発している。11月11日、日本軍性奴隷問題に取り組む大島宝塚市議事務所襲撃、「排除でなく 共に生きよう 宝塚で」と書かれた看板破壊。12月4日、京都朝鮮初級学校が京都市と協議の上グラウンドとして利用していた公園の諸施設破壊、学校への押しかけ等々だ。
政治スローガンを掲げた街頭デモ、あるいは抗議行動レベルの展開から直接攻撃へ、ネットを通じた不特定多数への呼びかけから、在特会、主権回復を目指す会支部の立ち上げ、基本組織を軸とした直接行動へといった変化が見て取れる。