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▲津田直則さん

▲アップフロント・クラブ
更新日:2010/01/05(火)

[社会] 「もう一つの世界」としての協同組合社会 グローバルなアソシエーション革命
──津田直則さん(桃山学院大学経済学部教授)インタビュー

押し寄せようとする「アソシエーションの波」

19世紀、マルクスは、資本主義に取って代わる社会のイメージとしてアソシエーション社会を提起したが、20世紀の終わり、世界規模の実態調査の結果、グローバルな規模でNPOが急激に拡大したことが確認され、米国の政治学者・レスターサラモンは、「一つのグローバルなアソシエーション革命が今日、進行中である」と定式化した。

日本でもようやく労働者協同組合の法制化が確実視され、自治・連帯・公正・民主主義を価値とする「アソシエーションの波」が押し寄せようとしている。競争を原理とする新自由主義への対抗社会として、協同組合社会の可能性は広がりつつある。ユーゴスラビアの自主管理社会主義をはじめ世界の協同組合の実践を研究されてきた津田直則さんに、そのモデルとしてオーストラリア・マレーニの実践を、さらに日本のアソシエーション運動の現状を聞いた。(文責・編集部)

他種類・多目的のアソシエーションネットワークで地域を変える

──津田さんは、協同組合社会のモデルとしてマレーニ(豪州クィーンズランド)という町を紹介しています。まず「協同組合社会」について説明して下さい。

津田…地域社会を変えるためには、多種類、多目的の協同組合相互の協力が必要であり、全国展開の大規模化ではなく、地域でミクロ的に運営することが重要です。生活協同組合・労働者協同組合に加えて、NPOや社会的企業がクモの巣のようなネットワークを形成し、地域住民の多種多様なニーズに応え、そのエネルギーを生かす地域社会再生の実験です。

米国発の新自由主義は競争を原理として世界を席巻し、競争が暴力化し、社会的排除を招いて、多大な悲劇を生み出しました。今、「競争」に代わって「協力」を原理とする社会が登場し、注目されています。

──マレーニは、その具体例というわけですか?

津田…そうです。小さな村に協同組合社会を建設し、30年を経てオーストラリアの協同組合の首都といわれるまでになりました。過疎の町であったマレーニは、今では芸術家が集まり、信頼で築かれた協同組合の町へと変化しました。

人口は2000人ほどで、20〜30の協同組合やアソシエーションがネットワークを形成しています。環境を重視し、パーマカルチャー思想(生態学的に健全で、経済的にも成り立ち、長期的な持続可能性をもつ社会システムを農業をはじめとした生活で追求し、つくり出そうという思想)に基づいてエコ・ヴィレッジが設立され、国連から96年に表彰されてもいます。

マレーニの協同組合運動は、心理学者でもあるジル・ジョーダンが1970年にヒッピーのようにこの街にやってきて、仲間たちと無農薬の野菜やハーブ栽培を始めたのがスタートです。

当初はよそ者扱いされていましたが、79年に町の中心地メイプル・ストリートに店を出し、協同組合事業を始めました。

この生協が、住宅・雇用情報・交流などの情報センターとなり、農家の女性が集まり始め、店に農作物を卸し始めました。店内はすべてオーガニックで、商品数は多いのですが、広さは日本のコンビニ程度で、小さい店です。

この生協に隣接している店が、「アップフロント・クラブ」です。昼は喫茶店、夜はレストラン・音楽家の演奏会場となる町一番の社交場です。これも協同組合方式で運営されています。

両協同組合は、07年に合併しました。合併することで様々な企画を打ち出すことが可能となり、生協にとっても、若い人たちが集まる社交場を取り込むことで、組合員の若返りや拡大を図れるという判断です。

──どのくらいの規模なんでしょうか?

津田…アップフロント・クラブを含めて生協組合員は、6〜7000人位です。町の中心の人口が2000人、周辺地域を含めても1万人に満たない町ですから、地域の大部分が組合員です。

生協の事業高は1億円程度で、決して大きくありません。彼女たちは、事業高を大きくすることを求めていません。平和で暮らしやすいコミュニティをより豊かにすることを目的に、経済・環境・社会的公正という3つの視点を大事にしています。

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