[投書] 言わせて聞いて第1363号
三重ゲイねっとわーく「如月」発足10年の準備期間●三重・森音弥
三重ゲイねっとわーく「如月」を人口15万弱のこの地方都市で発足させるのに、10年の歳月を要した。ひとりの社会人として大いに鍛えられ、いい勉強になった。
「如月」は、たしかにゲイのためのサークルではあるが、よくある今風のホモエロ的たまり場「ハッテン場(バ)」にはしたくない。
まずは同性愛者の人権学習(職場における人権、地域社会における人権、そして同性愛者自身の人権意識)に取り組んだ。使用するテキストは参加者全員でアレコレ持ち寄り、話し合いで決めた。
例会は月一回のペースで、あくまでも学習会を前提とした上で、交流会も設けた。恋愛をふくめた当事者同士の問題は、絶対にサークルの中へ持ち込まないことを鉄則とした。可能な限りお金を使わない運営方針を、参加者全員で話し合った。
例会の場や日時もムリに固定せず、全員が一番納得のいく状況を選ぶようにした。もちろん県外からの視察も、一回限りの参加も大歓迎。カンパの強要はしない。本名をはじめとした個人情報はムリに公開しなくていい。…そんなこんなで細々と活動しております。
これまでの例会で使用したテキストのうち、最も好評だったのが、海野弘著『ホモセクシャル世界史』でした。出版元の文芸春秋社気付で海野先生に、その旨手紙でお伝えしたところ、丁寧なお返事をいただきました。手紙の文面から、海野先生の誠実な人柄が伝わってきました。
このサークルを発足するについて、メンバー募集のチラシと私の名刺をワンセットで10部ずつ、県内各市町村の公共施設やフリースペースに設置していただく「営業活動」は、この10年間ひとりでこなしましたが、協力的な姿勢で対応して下さる方々の好意に支えられたお陰だと、感謝しております。
非協力的な対応をする人々のことは初めから判りきっていたことでもあるから、スパッと割り切りました。とにかく前へ前へと未開拓の荒野を一人さまよったこの10年の歳月は、私に深い教訓を与えてくれたのです。
▼問い合わせ…0596−26−2282(森)まで
異議申し立て棄却されました●東拘・和光晴生
異議申立て11・9棄却。未決処遇あと数日のみ。お世話になりました。
[編集部注]和光さんは、オランダ・ハーグの仏大使館占拠(1974年)とマレーシア・クアラルンプールの米大使館占拠(75年)において、殺人未遂と逮捕監禁の罪に問われ、10月27日、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)によって上告棄却の決定を受け、無期懲役が「確定」していた。電報が、11月11日付で当編集部に送られてきた。
監獄法復活粉砕!権利のための闘争は万人の義務である●加古川刑・岸根文康
10月5日、人権侵害所長・斉藤克己を打倒すべく「発信禁止取消の行政訴訟」及び「国家賠償請求訴訟」を神戸地裁に提起したことを報告する。
「人権の辺境地帯」で決起し、人権侵害を所長に抗議して以来、1年3ヵ月を要した提訴だ。名古屋刑の事件を契機に、監獄残虐史は98年で幕を閉じたか?! 「受刑者の人権尊重」を明記した新法の精神は、現在風前の灯と化し、悪名高き「裁量行政」の下で、刑務所長の権限は監獄法下の水準に回帰している。
2年後の新法見直し(改悪)を先取りした全国の刑務所では、『一時の制限緩和から規制強化=人権侵害の逆コース』が実態だ。
今回の私の提訴は、文字通り「逆コース」を粉砕すべく位置付けられた闘争だ。新法の「人権尊重規定」は看板倒れで、法文上は外部交通権の制限撤廃が唯一の改善点であった。しかし今、その権利さえも有名無実化し、「所長裁量権」濫用・人権侵害の暴風が吹き荒れている。新法改悪阻止! 新法の人権尊重条項実現! 監獄法復活粉砕!法廷内外貫き闘いぬくぞ!