[社会] 九州電力玄海原発/危険なプルサーマル実験 不安の毎日が始まった
──佐賀市・石丸初美
国民無視のプルサーマル実験
「プルサーマル臨界に」―11月6日の朝刊見出しに、怒りがこみ上げてきました。同5日午後11時、玄海原発3号炉で、日本初のプルサーマル核分裂の連鎖反応が始まったのです。忘れることの出来ない日になりました。
プルサーマルは、国策といいながら、国民無視の押し付けでしかありません。安全性、使用後の高濃度放射性ゴミ処理問題、耐震問題、経済性など、問題は何一つ解決されていません。
私は、電力という商品にも但し書きが必要だと思っています。どんな商品でも製造者は、消費者に対し説明と注意書きを提示しなければなりません。
九州電力は、消費者でもある私達が疑問点を問うても、「企業機密だ」と答えないまま、玄海原発プルサーマルを始動しました。「世界でも類を見ない危険な実験だ」と、多くの科学者が警鐘を鳴らしているのですから、不安が残るのは当然です。
責任のたらい回し
この3年半の間、佐賀の市民運動は、古川知事や岸本玄海町長、九州電力に対し、幾度となく情報公開と説明会の開催を要望してきました。しかし、知事が、説明の場に現われることはありませんでした。さらに県の担当者は、「国の検査に合格しているので安全だ。国が国が…」と繰り返すばかり。これが県民の命を守る佐賀県の答です。
では、県が信じている国はどんな検査をしているのか? 私は、他県市民団体の人達と一緒に、経済産業省や国土交通省との交渉の場に参加しました。
彼らの答えには、驚き呆れるばかりでした。彼らは、「原発の専門家ではないから、電力会社の担当者に安全に仕事をやってもらうよう指導している」「安全審査は、電力会社から検査結果の説明を聞くだけです」と、耳を疑う発言でした。
国独自の検査基準は、不透明なままです。九電は、「万一の事故の責任は国も取る」と言ってきましたが、その国は、「責任所在は電力会社にある」と言うのです。そして佐賀県は「国が安全審査をしているから安全だ」と言うだけです。結局、責任のたらい回しだとわかりました。