更新日:2009/12/08(火)
[情報] 重信房子著『日本赤軍私史』を読む
──森本忠紀
精神の旅の壮絶なドラマ
岸花花 哀しきまでに 赤激し ─忠紀─
今年9月、バス旅行の機会があった。彼岸花満開の季節で、田の畦に、川の土手に、山裾に、真っ赤な彼岸花が群れ咲く景色に、ただただ感動した。
その姿は、立ってる場所といい、背の高さから花の大きさ、色合い…すべて相似通っていて、身分の相違がない。平等だ。それに、群れ咲くことの迫力。圧倒されるほど巨大なものもあるかと思えば、一輪、二輪と、自由自在だ。真っ赤な彼岸花たちは、生きる歓びを精一杯表現している。これが、命の本来の自然な姿。人間もこれが基本なんだ、と教えられた。
隣人とは友人、知人に留まらない。この地上果てなく皆隣人だと思うと、重信さんの「ああライラ パレスチナへと伝えてね 私はいつも共にあります」という一首を思い出した。
重信房子の革命家としての生き方を貫く根底にあるものは、人間の生を肯定するしなやかな精神だろう。『日本赤軍私史』は、30年に及ぶパレスチナ解放運動への邁進の中で、不断に自己変革を遂げながら辿った精神の旅の報告であり、一人の人間が生きる闘いの壮絶なドラマだ。
例えば、パレスチナ解放運動からの学びとして、「強さ」で団結する組織ではなく、「弱さを自覚し、支え克服し合えるような組織」こそ必要だと捉え返す件りがある。具体的な対話を紹介し、パレスチナ解放運動を一緒に経験させてくれるところが、この本の一番好きなところだ。
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