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▲この子どもたちがパレスチナに帰れる日はいつ…?(06年・レバノンのラシディヤ難民キャンプ)

パレスチナ難民の数
更新日:2009/12/06(日)

[海外]パレスチナ/ディアスポラ・パレスチナ人問題の解決こそ中東和平の端緒
──8月28日 「占領マガジン」 ダン・リーバーマン

問題はアラブ諸国ではなく「イスラエル建国」という不正

 部屋の中に巨象(パレスチナ「難民」)がいるのに、それを見ないで交渉している。「難民」は《犠牲者》というより、むしろ《和平交渉の障害物》と見られることが多い。パレスチナ問題の解決は、最も犠牲が大きく、今なお犠牲が続いている人々の苦しみの除去から始めるべきだろう。

イスラエルは、1948年戦争と1968年戦争で故郷を追われたパレスチナ人の帰還を認めない。そればかりか、彼らの土地や商売や資産や家屋を没収し、その補償すらしていない。

イスラエルの歴史家ベニー・モリスは、次のように書いている。

「パレスチナ人の悲劇には同情する。しかし、ここ(パレスチナ)にユダヤ人国家を樹立することが正当であるなら、これは止むを得ない悲劇である。新国家に第五列を温存するわけにいかなかったからだ。イシュヴ(訳注=イスラエル建国前のパレスチナにあったユダヤ人コミュニティ)がパレスチナ人の襲撃を受け、後の戦争でアラブ諸国の攻撃を受けたのだから、パレスチナ人を追い出すしかなかったのだ。戦争で彼らの根を絶つしかなかったのだ」。

モリスが正しいのは、「もしユダヤ人国家樹立することが正当ならば」と但し書きをつけた部分だけである。それは正当ではなかったのだ。そもそも、国家を作るからパレスチナ人を追い出したのではなく、その国家の領土を拡大したいからパレスチナ人を追い出したのだ。パレスチナ「難民」のほとんどは、国連分割決議でアラブ領とされた土地に住んでいた人々である。それに、土地収奪が始まった時、イスラエルはまだ国家ではなかったし、イスラエル建国前に、アラブ諸国がユダヤ人コミュニティを攻撃したという事実もない。

故郷を追われたパレスチナ人は、厳密に言えば、国連定義上は難民ではない。国連定義では、「難民とは、人種、宗教、国籍、所属社会集団、政治的思想を理由に迫害されるという明確な証拠に基づく恐れのために、自国の外に出たか、自国政府の保護を受けるのを拒否する人々」のことをいう。故郷を追われたパレスチナ人のほとんどは、帰郷を望んでいるが…。

戦火を避けてラマラやベツレヘムへ逃げ、2週間後に帰ってみると、自宅に外国人が住んでいて、強制的に追い出された人々もいる。世界は、故郷を追われたパレスチナ人問題を解決せず、「難民」として彼らに故郷以外の場所で住むことを許しただけだ。

「アラブ諸国がパレスチナ人に援助の手を差し伸べない」というプロパガンダがあるが、ほとんどのアラブ国は、パレスチナ難民にドアを開いている。ヨルダンはパレスチナ人に国籍を与え、シリアは自国民同様の社会的・経済的市民権を与えている。サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、エジプトでは、パレスチナ人は教育を受け、労働をしている。

レバノンだけは、かつて国内へ流入したパレスチナ人が、かなりの影響力を行使した歴史もあって、彼らに通常の市民生活を許可しなかった。これらは、政治的に不安定で、自国民を満足に食べさせられない国々である。

ディアスポラ・パレスチナ人を援助しない中東の国は、彼らを作り出した犯人であるイスラエルだけである。「アラブ諸国はパレスチナ『難民』に国籍を与えない」という批判もあるが、それはイスラエルの責任逃れに利するだけであろう。彼らの異郷生活を安定させることが解決ではない。帰還権を実現することが解決なのだ。

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