[反貧困] 貧困ゆえに住居持てぬ人びとに選挙権認めず
──10/23大阪地裁
「ホームレス選挙権剥奪」国賠訴訟で不当判決
今の日本で、選挙権を行使するには、選挙人名簿に登録されている必要がある。つまり、@日本国籍で、A選挙権を持ち、B市町村の住民基本台帳に3ヵ月以上継続して登録されていなければならない。
最近問題になった、ホームレスやネットカフェ難民、また雇い止め・解雇による会社寮からの退去問題では、Bの条件が満たせず、選挙権が行使できないことが国会でも取り上げられた。
大阪・釜ヶ崎でも07年3月、「居住実態がない」として、2088名の住民票が職権消除された。この消除によって選挙ができなかったことに対する国賠訴訟の第1審判決が、10月23日、大阪地裁でおこなわれた。(編集部 一ノ瀬)
わずか5分足らずで言い渡された「請求棄却」
「日本人が日本に住んでて、何で選挙できないんや!」─判決後、原告・Mさん(63)は、大阪地裁の建物に向かって叫んだ。住民票がないために選挙権を認めなかった地裁判決への抗議だ。
10月23日(金)、大阪地裁1010号法廷で開かれた「ホームレス選挙権剥奪国賠訴訟」(高橋文清裁判長)の判決は、わずか5分足らずで「請求棄却」が言い渡された。
貧困などが理由で、住民登録ができる住居を持たない「国民」は、選挙で投票できなくても仕方がないし、それは国や地方自治体の責任ではない、というわけだ。
棄却の理由は、@住所のない国民の選挙権行使を実現するのは、国会議員の仕事。A貧困等のために住居が確保できない国民の住居を確保し、住民登録できる制度は整備されているので、問題はない─とするものだった。
仕事もなく、ドヤに宿泊できる日も数えるほど。行政に相談しようにも、福祉事務所は門前払いし、施設収容を強要するばかり。判決が、「釜ヶ崎の実態を全然分かってない。裁判長は世間知らずだ!」と、支援者から抗議の声が上がるのは当然だ。
笹沼弘志さん(静岡大学・教育学部教授)も、「全国のホームレスやネットカフェ難民などの問題を見ても、国の対策が間違っているのは明らかだ」と批判する。