[反貧困] 関西有名企業=軒並み『過労死』企業
「特別条項」という過労死への道
「もう一つの働き方」を考える時、労働時間の長短は極めて重要だ。長すぎる労働は、働く喜びも労働の質も劣化させるからだ。
編集部は、大阪府内上場企業250社の36協定(時間外労働に関する労使協定)について大阪労働局に情報公開請求した。特に36協定を越える時間外労働についての労使協定である「特別条項」の実態を知るのが、主な目的だ。
長時間労働に起因する過労死・過労うつについては、壮年管理職労働者から若年正社員労働者にも広がっている現実を、弊紙(1353号)でも報告した。労働災害としての過労死・うつ認定は、基準も定められ、認定件数も増えている。
しかし、過労死の主原因である長時間労働については、法的規制が緩められたままで、特に「特別条項」などは、労働基準法の精神からいえば、限りなく法違反に近い脱法協定である。
こうした脱法協定を容認し、改善指導も行わない労働局もひどいが、こうした協定を企業と合意する労働組合とは、いったい何のために存在しているのか? これら労組は、過労死の共犯者と言って差し支えない。(編集部)
パナソニック、三洋、サカイ引越センター…
250社の内、特別条項を設けているのは146社で、全体の58%にあたる。「特別条項」は、研究開発など特殊な職種で「臨時的なものに限る」が、ほとんどの企業では、年間6ヵ月まで長時間残業が可能で、こうした規制すら有名無実化している。
月80時間以上が2ヵ月続けば、心臓疾患を発症させる可能性があり、過労死しても不思議ではないという医学的根拠が示されている。つまり、月80時間以上は、「過労死ライン」だ。
「月80時間」を超える特別条項を締結している企業は76社で、全体の30・4%(100時間以上=24社、9.6%)。
パナソニック・三洋電機・住友電設・高島屋・富士火災海上保険・吉本興業など、関西財界を代表する有名企業が、「月100時間」以上の時間外労働を命じている。
事故など一般の労働災害は、予見不可能な部分も多いが、過労死は、長時間労働との関連が明確に示されており、これら企業は確信犯に近い。弁護士らでつくる「大阪過労死問題連絡会」は、「労働者を守るはずの労使協定が、逆に過労死を生み出す要因になっている」と指摘している。
年間残業千時間
年間労働時間を見ると、900時間を超える時間外労働を命じることができる協定を結んでいる企業が10社あることもわかった。
このうち、サカイ引越センター・銭高組・アークの3社は、1000時間を超えている。過労死ラインである月80時間の残業を12ヵ月ぶっ続けで働くと、960時間である。これら10社は、もう殺人企業と言っていいのではないか。
逆に、特別条項を締結している企業のうち、年間残業時間が480時間(月80時間×6ヵ月)未満の企業は、見あたらない。つまり、特別条項を締結している企業は、すべて過労死がいつ起こっても不思議ではない。
「過労死家族の会」は、大阪労働局に対し、過労死企業名の情報公開請求(大阪に本社がある従業員1万人以上の大企業)したが、未だ非公開だ。