[政治] 関西財界と橋下知事 道州制導入で過疎地切り捨て
関西財界の意向を受けた道州制導入
大阪府庁のWTC移転→道州制導入は、徹頭徹尾、関西財界の意向を受けたものだ。「道州制の導入」は、財界の長年の懸案。とりわけ橋下知事のお膝元の関西財界は、「関西経済を復活させるには、府県制を廃止して関西州を実現する以外に方法がない」と言いきるほどの力の入れようだ。
関西広域機構会長の秋山喜久氏は、「府庁のWTC移転案は、大阪湾岸部を関西の戦略拠点に育成していくうえで望ましい」としたうえで、「アジアの玄関をめざせ」と檄を飛ばす。秋山氏といえば、関西電力会長や関西経済連合会会長を歴任した関西財界の大物で、「関西州」の準備組織である「関西広域機構」のトップとして、旗振り役を務めている人物だ。
さらに「いまの日本にとっての最大の課題は、成長力の強化であり、この国が成長力を取り戻すためには、『インフラの整備』と『道州制による地方分権』に向かって『選択と集中』へ舵を切る他はない」―こう語っているのは御手洗日本経団連会長だ(『文芸春秋』2008年7月号)。
「選択と集中」
では、なぜ道州制が経済成長力の強化につながるのか?御手洗氏は続けていう。「道州制とは一言でいえば、行政の選択と集中である」、「道州制が実現すれば、行政のスリム化は加速し、自立した経済圏が形成される」。
つまり府県を廃止し、さらに市町村大合併を繰り返し、地方議員や地方公務員を大幅に削減して地域住民への生活・社会サービスを低減すれば財源が生み出され、国際標準の空港・港湾・道路を建設することが可能になるというわけだ。
「平成の大合併」によって、過疎市町村が切り捨てられた。この上、府県までが廃止されれば、それこそ「国土の選択と集中」につながり、至る所で「地域が棄てられ、住民が棄てられる」といった事態が起こりかねない。
橋下知事のいう「地方分権」は、現在の市町村自治体の行財政権限を立て直して、住民への生活サービスを充実させることではない。「選択と集中」たる「道州制の実現」を「地方分権」だと言っているだけの話なのだ。(編集部)