[政治] 橋下大阪府知事「財政再建」の正体
──有機八百屋・佐藤貴志
府立青少年会館を半値以下で叩き売り
橋下人気は相変わらずだが、ある府有施設の売却をめぐって、橋下改革を考えさせるような事態が起きている。
ある施設とは、森ノ宮(大阪市中央区)にある府立青少年会館。同館は、吹奏楽部、合唱部、演劇部、ダンス部、美術部、書道部など、練習やコンサート、ショー、発表の場として若者に広く親しまれてきた。このような若者文化のメッカが今回、まるでバナナの叩き売りのように処分されたのだ。
青少年会館がある森ノ宮地区──。いまWTC(ワールドトレードセンター)への移転が取りざたされている府庁舎の南側で、東側の広大な車検場、西側の大手前地区とともに一帯は庁舎移転とも連動した大規模な再開発構想が持ち上がる。
目前に緑豊かな大阪城公園や難波宮史跡公園などの歴史・文化施設があり、「グレードの高い都市開発が可能」「大阪中心部で最後の再開発候補地」(府側)だ。
そのような開発構想が持ち上がる同地区にあって、青少年会館は、中央大通りにも面し、近くには国立病院もあるなど、マンション業者にとっては喉から手が出るほどほしくなる 超優良物件 。
3月の一般競争入札でも府有地16件(他上位7件が1億円台)の中で、評価額がケタ違いの優良目玉物件だ。
このような超目玉物件 が9月17日の一般競争入札で大手不動産会社「長谷工コーポレーション」(本社、東京都港区)によって落札された。
しかし、落札価格は、まわりの期待に反し、府が設定した最低価格(31億8000万円)をほんの少し上回る31億9000万円にとどまった。
昨年4月の橋下改革案での見込み額は100億円。リーマンショック以降地価が下落しているとはいえ、31億円の売却額はあまりにも低すぎるのではないか──?
実は、売却額が妥当かどうか、参考になる土地が、青少年会館からわずか約300メートルしか離れていない難波宮跡公園付近にある。
ここに売りに出されている住宅用用地の坪単価は約240万円──。
これを青少年会館の敷地面積に換算すると、71億円あまり。実に落札価格の倍以上にもなる。
これは、実質長谷工の言い値が通ったものではないか?との疑いを濃厚にする事実だ。