[情報] 支え合う生活共同体
──社会福祉法人・暁光会大阪支部
シェアする事でみんなで生きていく
もし私がにっちもさっちもいかなくなったら、ここに入らせてもらおう。──暁光会は、そう思わせてくれる生活共同体だった。私は3級だが精神障害を持ち、普通に営利企業で朝から晩まで働くのは難しいと思う。その点、暁光会はどんな人でも能力に応じて働き、必要に応じて対価を受け取ることができるコミュニティだ。
施設長の森下さんにお話を伺った。
「コミュニティの活動そのものが資本主義社会へのアンチテーゼだ」と森下さんは言う。
「能力ある人が収入を得るのはかまわんけど、それで生きていけない人が出るくらい取っちゃうような世の中はおかしい」。もう一つの世界とは、シェアする気持ちのある人がシェアしあって、みんなが椅子に座れる(生活できる)社会なのではないか、と。
今一緒に共同生活を送っているメンバーは11人。女性1人、知的障害者1人、身体障害者2人。35歳から84歳まで年齢層も幅広い。メンバーになるのは、本人が訪ねてきたり、他の人が連れてきたりしてやってくる。条件を話して納得してもらえる人だけ居てもらう。条件とは、「10働いても1働いても5もらう」「共同生活をする」ことなど。
給料は無く、週に1回煙草銭、酒代、食事代程度を分け合う。個人の賃金収入がないので、なかなか受け入れられない部分がある。一度入っても、パっと消えてしまう人が何人もいたという。共同生活はリズムが必要で、お金も個人的には使えないから、合わない人はいなくなってしまう。また、普通に就職したいならそれを応援する。
8時から17時が仕事で、12時から13時が昼休みと食事。仕事と食事はみんなですることが決まりだ。
売上高が大したことなくても、みんなが力を合わせていれば生活していける。理想的には、稼働力が高い人が半分いれば、後の半分は何とかなる。でも、これぐらい働けばいいんだ、とみんなが働かなくなってくると、運営維持が厳しい。「もっとがんばれよ」とかメンバー同士で言う事で何とかなってきた。
共同生活の食費は、全員で1ヵ月10万円以下。米の寄付などもあるが、まとめて作るので安くなる。1食100円くらいだから、外食で1000円のものを食べるとしたら、10分の1しかかからない。
共同生活をして一緒に居ると、一種の疑似家族的なつながりができてくるという。「他人が側に居る事は生きていく事の大事な要素であり、コミュニティの大事な要素は人が有機的につながっていることだ」と森下さんは言う。「孤独でいるより喧嘩やトラブルがある方がいい」とも。