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更新日:2009/10/19(月)

[海外] アメリカ/オバマ支持率低下の理由
──米・ノースキャロライナ/植田圭子

はじめに

民主党は政権獲得後、マニフェスト実現に向け次々と基本方針を打ち出し、「変化」を印象づけようと躍起だ。

一方、「変化」をスローガンに黒人初の大統領・オバマ氏も、公約実現に向けて次々とメッセージを発し、施策を発表しているが、あれほどの熱狂をもって迎えられたオバマ氏の支持率が、急激に低下している。

米国在住の植田さんは、その理由を主に金持ち・大企業からの巻き返しだと観る。米国GDPの16%を占める医療・保険業業界が「公的健康保険導入」に対し大規模な反対キャンペーンを行い、オバマを追い詰めているという。自由市場の米国で薬価は、英国で22円の薬が120円に跳ね上がる。医師の年収も、膨大な医大学費ローン返済と貪欲さ故に欧州比で5〜10倍を求める。

今、米国で起こっていることは、日本の政権交代の今後を見通す上でヒントになるのではないか。(編集部)

大金持ちの高笑いが聞こえる

オバマ政権の支持率が下がり始めている。ワシントン・ポストによる電話調査の結果、「大統領の決断を信頼する」人は49%で、就任100日目より11%下降。支持率も57%で12%下がった。

私が住むノースキャロライナでも、オバマに投票した人の45%が不支持に変わった。共和党や大金持ちの高笑いが聞こえるようだ。

支持率低下の要因は、@医療制度改革への不支持、A連邦財政赤字に対する不安。Bアフガニスタン戦争だ。

「景気対策」への不信

株の大暴落から1年。米政府の景気対策、金融救済対策を検証する番組が増えている。結論は勿論「ノー」だ。

さんざん規制緩和をやった挙句の株の大暴落。そこに国民の血税を大量に注いだ。金融機関は、借金返済と利益を出すために、国民から絞れるだけ絞る。25%のクレジットカード利率なんていうのが平気であるのだ。

つまり、国民は税金でむしられて、金を借りてまたむしられる。政府が金融機関を救済した時に、その金の使い方に全く条件をつけなかったために、この金が潤沢な貸付資金として市中銀行を潤すのではなく、相変わらず経営者の莫大なボーナスに使われ、彼らだけが豊かになる結果となり、1年たって、金融機関の行動は元に戻ってしまった。金融救済は必要だった。だが、あの時、しっかりとした手綱をつけて、使い道を徹底的に規制していたら、市場も社会も大きく変っていただろう。

民間保険会社の大規模な妨害

オバマ保険案反対には、黒人大統領に我慢ならない南部保守派白人の根強い人種差別もある。先日の反対派のワシントンデモを見ても、「オバマヒットラー」「社会主義者」そしてマサイ族姿のオバマの写真などが掲げられた。

しかしここには、政府の経済社会政策が市民生活に一向に反映されないことに対する不満不信が、オバマというスケープゴードに叩きつけられているようにも見える。

保険会社の策略は国民の感情と無知を利用し、恐怖心に陥れるものが多い。反対派デモ参加者は、驚くほど保険に関する知識が乏しい。例えば、高齢者医療保険制度を受けながら、これが公的保険であることを知らないアメリカ人は多い。「オバマよ、私の高齢者医療保険を奪わないで!」と叫んでいる。現状維持を望む民間保険会社、製薬会社は、オバマの保険改正案の、「国営」「社会」という言葉を強調し、「国が牛耳ると怖いぞ!社会化保険は赤だぞ!」とのイメージで脅しつける。内容は言及しない。これだけで、「ロシア化はごめんだ」という拒否反応を起こさせる。

彼らは、政府にロビイスト(政治工作員)をどんどん送り込み、政策決定に圧力をかけていく。マイケルムーアの映画・「シッコ」も、保険会社やロビイストの努力でぶっ潰してしまったそうだ。「あれは作り事だ」という広告をしっかり流し、「ハリウッドの映画監督」=マイケルムーアという呼び方を定着させた。つまり「彼はドキュメンタリー映画の製作者ではない、娯楽映画の製作者だ、この映画に信憑性はない」というPRだ。その上で「彼は過激派で、あんな奴のいうことを信じると怖い国になるぞ」と脅しつけた。1990年代にクリントンとヒラリーが保険改正に奔走した時も、国民を徹底的に恐れさせる作戦で、改正案潰しに成功している。

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