更新日:2009/10/13(火)
[海外]パレスチナ/国家への幻想を捨て、人種主義大国主義と決別せよ!
──ヒシャム・ブスターニ
アラブ世界からのヨーロッパ左翼批判
世界中の左翼は、ある地域では急上昇、他の地域では急落など様々である。南米では左翼は着実に力強く上昇している。
ネパールでもマオイストが長年の武装革命闘争の後、民主的に王政を転覆させた。インドでも、左翼が地方行政権を獲得している。
他方アラブ世界の左翼は、まだ繭に覆われたまま弱小で、内外に危機を抱えたままである。ヨーロッパの左翼はだんだんと下降しているようで、大組織の多く(労働組合や社会民主諸政党)は、もう左翼ではない。自由経済政策を採用し、社会保障(医療・教育・住宅)減額、公的自由の制限に同意し、米国流のむき出しの資本主義と力による世界制覇に追従している。この論文はヨーロッパの左翼全体を、東アラブという私の位置から見て、批判的にまとめたものである。
ヨーロッパと左翼の同一危機
ヨーロッパ左翼の危機は欧州危機の表れである。ヨーロッパは、自由・人権・法治国家の長い歴史を誇りとしてきた。ファシズムと戦う最前線であり、非人間的イデオロギーを砕いたことを誇りとしていた。そして経済的モデルは資本主義ではあるが、社会主義的要素も取り入れて、ある種の社会福祉国家を実現したことを誇りにしていた。
この歴史が、米国・英国のネオリベラリズムの突進に一気に崩れたのである。レーガン=サッチャーの脱規制・民営化路線が、社会主義ブロック崩壊後、ヨーロッパ大陸全体を席捲した。
次に、米政権が9・11事件を利用して公的自由や人権の絶滅に乗り出した時、ヨーロッパも同じ道へと突き進んだ。「反テロ」法を作り、ブラックリストを作成、CIA的な超法規的解釈を適用・実践し、活動家を秘密刑務所に収容し、革命的社会主義を標榜し、世界の解放闘争を支持する非妥協的左翼活動家や組織を弾圧した。
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