[政治]民主圧勝 総選挙意見特集:勤続23年・常勝冬柴鉄三VS落下傘候補・田中康夫
──兵庫県議・丸尾牧
兵庫8区(尼崎選挙区)選挙結果レポート
今回の兵庫8区尼崎選挙区は、23年間衆議院議員を務め、小選挙区制導入後、常に勝利し続けている公明党の冬柴鉄三さんが自民党推薦で立候補。続いて社民党・市来伴子さん、共産党・庄本悦子さんらが立候補を表明、公示直前に、新党日本の田中康夫さんが立った。自公政権がグローバリズムの流れに乗る中で、小さな政府を目指し、福祉の削減、労働市場の自由化、環境問題の先送りなどを行ってきたが、それらの結果責任が問われる選挙で、事実上、冬柴vs田中の対決構図となった。
創価学会の脅威
冬柴さんが、「幼児教育の無償化」「グリーン産業革命」「基礎年金に加算制度の創設」などを訴える一方で、田中さんは、「一般競争入札を徹底し、地域密着型の公共事業へ大転換」「最低生活保障であるベーシック・インカムの導入」「後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の医療費無料を実施」などを訴えた。
選挙戦の序盤は、落下傘候補である田中さんについて、「顔や名前は知っているが、どんな人でどんなことをするのか良くわからない」という人が少なからずおり、苦戦した。また、創価学会関係者が丁寧に地域回りをし、冬柴さんも小まめに挨拶周りをしたことから、周りの目を気にして、「田中さんの支援をしにくい」という人も少なからずいた。
逆に田中さんは、新党日本代表として、他地域の新党日本候補者の応援や、テレビ番組収録のため、尼崎にいない時が多々あり、選挙前半は、かなり厳しい雰囲気の中で、時間だけが過ぎていった。
選挙中盤・後半で、田中さんが、駅頭での朝立ちや夜立ち、盆踊りへの参加など、積極的に住民の前に顔を出し、街頭演説も頻繁化する中で、《よそ者の落下傘候補》というイメージも薄れていった。田中さんの演説がわかりやすく、説得力があることから、話を聞いた人は、スイッチが入り、積極的な支援の輪が広がっていったようだ。
冬柴陣営の動きは、丁寧なあいさつ回りで、組織を引き締めると共に、6月の市議選で公明党が応援した保守系市議などを通じ、支援を広げていった。
一方で、田中さんの手をいきなり掴み、あるいは田中さんにわざとぶつかり、「よそ者が尼崎に来て何をするんや」「尼崎を混乱させるだけや」「長野に帰れ」などと罵声を浴びせる人が続出するなど、選挙妨害とも取られかねない度を越したネガティブキャンペーンが行われた。これが週刊誌などに掲載され、結果として、冬柴陣営のマイナスイメージにつながったことは、否定できない。