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[海外]アメリカ／赤字拡大で公的サービスを「虐殺」
──ノースキャロライナ州立大学ローリー校講師・植田恵子

州職員・教師が軒並み解雇

国は赤字になれば、国債でも紙幣でもバンバン発行できるが、州政府はそうはいかない。

ノースキャロライナ州では州職員、教師が軒並み解雇された。続いて、社会で最も弱い立場にある人達、精神病患者たちのプログラムも大幅カット。公立学校の1クラス当たりの生徒数も増える。刑務所も閉鎖が続くだろう。新規課税で、10億ドルの増収が見込まれている。

ここローリーで起こっている財政赤字による公的サービス、支援プログラムの「虐殺」は、この国のいたるところで起こった現象の一つに過ぎない。ノースキャロライナ同様、不況と税収の落ち込みで、48州が２０１０年度は赤字になると予想される。赤字地獄と無縁なのは、石油に恵まれたニューメキシコ、アラスカ、モンタナ州のみだ。

ペンシルバニアのハリスバーグを例にとると、09年度の州予算が遅々として通過の見込みが立たないので、州政府は公務員にｉｏｕ（州の借用証書）を配布した。このため１０００人以上の公務員が食料銀行に助けを求めた。

アリゾナ州では、共和党知事と共和党議会が増税に同意しないため、州資本を担保に借金を考慮中だ。コネチカット議会は自動車両局を閉鎖しようと考えている。テネシーでは、赤字予算対策として、今後２年間に３０００人の受刑者を釈放する計画だ。しかし、犯罪歴のある人の失業率は90％。多くの州が受刑者釈放に走ると、失業率は16％まで跳ね上がる。仕事がなければまた犯罪に走る。受刑者の職探し支援をきちんとしなければ、社会不安を起こし、余計に税金を使うのだ。

また、ミシガンの州職員は6日間の無給休暇を取らなければならない。ノースキャロライナ州も他の24州と同様、公立学校への運営資金が削られ、32州は公立大学への援助金が減らされた。ノースキャロライナは　他の41州と同じく、州職員の数が減らされ、仕事時間も削られている。