更新日:2009/09/28(月)
[反貧困]衆院総選挙 意見特集:絶望の総選挙
──釜ヶ崎労働者・宮本一穂
国民主権ではなく大家主権
公職選挙法の規定では、住民登録されている者が選挙人名簿に登録される。大阪市は、公園や河川敷に小屋を建てて住んでいる者や、シェルターに住んでいる者を住民登録しようとしない。要するに現在の選挙制度では、大家に家賃を支払わなければ投票できないのだ。これでは国民主権ではなく大家主権だ。
釜ヶ崎に生まれて釜ヶ崎に育った釜の日雇い労働者なんて滅多にいない。希望をもって釜ヶ崎にやってくる者も最近はめっきり減った。釜の日雇い労働者らの多くは、日本のどこかで人生に絶望して釜ヶ崎にやってきた。絶望の終着駅となった釜から発車する電車やバスなんてないから、釜の日雇い労働者らは絶望を抱えながら釜ヶ崎の中を歩き彷徨う。そしていつしか絶望に慣れてしまう。議員に助けてもらえず、釜ヶ崎にやって来ざるを得なかった釜の日雇い労働者らは、もちろん議員が助けてくれるなんて、ちっとも思っていない。
仕事にあぶれることが多い釜の日雇い労働者たちは、定まった部屋に住み続けることができない。そのため多くの釜の日雇い労働者らは、大阪市の職員に勧められて、手紙を預かってくれる釜ヶ崎解放会館などに住民登録していた。
2007年、前の大阪市長は、釜ヶ崎解放会館などにあった釜の日雇い労働者らの住民登録を抹消した。住民登録が抹消されたため、現実に釜ヶ崎にいる釜の日雇い労働者らは、書類のうえでは釜ヶ崎にはいないことになってしまった。このときもやっぱり釜の日雇い労働者らを助けようとする議員はおらず、また釜の日雇い労働者らも議員に助けを求めなかった。
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