更新日:2009/09/28(月)
[社会]衆院総選挙 意見特集:金を使わず、智恵と体で豊かな地域社会を再建
──東洋町々長・澤山保太郎
行政内部からの改革
私は、東洋町へ高レベル放射性廃棄物を持ち込ませないという町民の熱い思いに押し上げられて、07年4月23日に町長に就任しました。受け入れが決まっていた核廃棄物は阻止しましたが、その後の行政改革の困難さは予想以上でした。まるで闇夜に無法地帯のジャングルをさまよっているが如きものでした。
私も市民オンブズマンとして行政の腐敗や不正と戦ってきたつもりですが、それらの戦いは取り組みにある程度の選択の余地があったものです。市民オンブズマンでは、住民訴訟までやって敗訴すれば「もうそれ以上は仕方がない」で済んだが、行政の担当者としては、「仕方がない」という言葉はあり得ません。行政を動かしながら、行政を内部から変革していく。しかもその改革は、外部の利権屋どもとの熾烈な戦いなしには進まない。
しかし、内部の改革をし、町の産業基盤を建設していくという仕事は、国からの交付金のあれこれや、その多寡が問題ではないのです。町や村には、何の補助金も交付金もなしに先祖が営々として築いてきた生産手段が残っている。田畑があり、海や山林があり、川があるのです。
人も住んでいます。国からの資金が無くてもいくらでも道はあります。田畑を耕そう、鳥や豚や牛を飼おう、山の薪を使って風呂をつくろう、この大自然の中で叡智と体力があれば人間としての尊厳と自由を保って、生きていく道はいくらでもあるのです。人の意識が変わらねばなりません。行政改革とは、金を使わず、智恵と体を使って豊かな生産活動で地域社会を再建するという営みでなければなりません。
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