[社会]【長浜キャノン】「偽装請負で解雇」違法
日系ブラジル人労働者労働審判申し立て
7月14日、大手電機メーカー・キヤノンの子会社、長浜キヤノン(滋賀県長浜市)で働く日系ブラジル人労働者8名が、同社と請負会社・小西産業(滋賀県甲賀市)に対し、解雇無効と補償金の支払い等を求める労働審判を大津地裁に申し立てた。
8名は小西産業の社員として06年ごろから長浜キヤノンの工場で偽装請負の状態で働いていた。が、昨年来の不況を受け、長浜キヤノンは小西産業を含む請負会社8社との契約を6月までに解除。約1000人の労働者が雇い止めにあった。日系ブラジル人労働者らが働いていたラインは、4月末に止まった。
申立てを行った労働者らは24〜30歳の日系ブラジル人。異国の制度の中で不当解雇との闘いを続けながら、アルバイトで生計を立て、職探しをしている人もいる。彼(女)らは、日本での生活が難しくなればブラジルに帰るしかない。しかし7歳になる子どもが公立学校に通っており、日本に残るほか選択肢の無い人もいる。
生活に苦しむ当事者たちのため、早期の解決が望まれる。
解雇無効
労働審判申立書によると、小西産業は労働者を個別に呼び出し、解雇予告通知書へのサインを迫った際、労働者らの質問にははっきり答えずに、「サインしないと雇用保険がもらえない」と急かすばかりだったという。
解雇は、客観的に合理的な理由が認められない限り、厳しく制限される。今回のように労働者に非がなく、もっぱら使用者の都合でなされる整理解雇は、原則として解雇権濫用となり無効である。整理解雇であっても、@人員整理をする必要性、A解雇を回避する努力、B被解雇者の人選の合理性、C説明・協議等、手続きの妥当性という4つの要件すべてをクリアしてはじめて有効とされる。
しかし小西産業は今回、その一つも充たしていない。
小西産業は解雇の必要性について具体的説明を一切拒否し、経営状況を示す資料も明らかにしていない。一方で、評価額が4000万円を超える不動産など複数の物件を所有していることがわかっている。説明もできないという態度は、解雇の必要性が無いことを示す何よりの証拠だ。
また、小西産業は希望退職者を募集するようなこともしていないし、助成金の活用など、解雇を回避するための努力もしていない。解雇権を濫用し、労働者のみに負担を押し付けようとしている。