[政治] 橋下知事「首長連合」のきな臭さ
自己責任論の「地方分権」は願い下げだ!
またぞろ橋下徹・大阪府知事の周辺が騒がしい。騒動は先月24日、橋下知事が中田宏・横浜市長や中村時広・松山市長、露木順一・神奈川県開成町長と会談。新グループの立ち上げで合意したと報じられたことによる。「首長連合」の立ち上げは地方分権の実現を迫るのが狙いとされるが、これによって橋下らの人気を利用したい自公・民主双方が争って「より進歩的な分権策」を打ち出し、メディアジャックの様相を呈している。これは何なのか?(編集部・中桐)
うさん臭い連合
まず、会合に顔をそろえた4人がそろいもそろってうさん臭い。不要な高速道路のランプを作るために保育園児を泣かし、私学助成カットで「日本は自己責任が原則」と強弁して高校生を泣かせてきた橋下知事は、語るに及ばない。
今回の動きを主導したとされる中田市長は松下政経塾出身で、衆院議員時代の01年には首相指名選挙で小泉純一郎に投票したゴリゴリの自己責任民営化論者だ。02年に横浜市長に転身後は「行政改革の模範」とも評される。しかしその実態は市場主義による合理化・社会福祉切り捨て政策だ。
「市民の負担は多くして、再開発や特定企業支援とも受け取られる事業に高額な予算が割かれて」(杉山典子・横浜市議会議員・無所属クラブ)おり、市立保育所の民間移管、学校給食調理業務の民間委託、ゴミ収集運搬の民間委託など、「民営化路線は加速」(日本共産党横浜市会議員団)している。
目下、横浜港開港150周年記念事業での濫費により、横浜市民の負担増が懸念されている。自身は週刊誌に女性スキャンダルを追及されており、「市民派」として失地回復が現在死活の課題である。
露木町長は箱根のふもとに位置する小さな街の町長だが、「地方分権」ではエース格だ。07年から政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長)の委員を猪瀬直樹・東京都副知事ら6人とともに務める。つまり、政府サイドの「地方分権推進」の顔である。「東国原知事を新党の顔にして、地方分権党を作ったらどうか」と述べている(6月26日読売新聞)。
中村・松山市長は「右派日和見主義者」(山田・弊紙編集長・松山市出身)。中田・横浜市長、山田宏・東京都杉並区長とともに「『日本よい国』構想」という保守シンクタンクの特別研究員を担う盟友である。司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』をモチーフとしたまちづくりを提唱しているが、厳しい財政状況のなかで「建設ありきで無駄遣い」「展示の中身は市民に知らされないまま建設だけが進められている」「日露戦争賛美につながる」と疑問の声があがっている。
こうした面々が密談によってどんな絵を描いたのか?「地方分権」のお題目の背後に別の思惑があるのでは、と疑わないわけにはいかない。