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▲エジジプト・カイロ大学で演説するオバマ大統領。「イスラム教徒と米国との新しい始まり」を呼びかけたが。(6月4日)/パレスチナ北部・ナブルス郊外の前哨地(今年5月)
更新日:2009/07/21(火)

[海外] パレスチナ/オバマ大統領、カイロ演説の大言壮語

拡大する言葉と実行の乖離

時局を追いかけてばかりいる政治評論家やコメンテーターにとって、世界的指導者の一言一言が大地震であり、革命である。ハンサムで、明瞭で、雄弁なオバマに関しては特にこれがあてはまる。

現在、オバマの「入植反対・2国解決案賛成」という目新しくもない演説が、世紀の大事件であるかのように人為的に宣伝をされている。また彼はアラブ・ムスリム世界に広がる米国の堕落したイメージを改善したがっていると言われる。オバマに限らず、誰だってそうだろう。

私はオバマ発言について、本当に何が変わるのか、注意深く検証せよと言いたいのだ。昔からある立派な抱負を繰り返すことには何の意味もないが、「表現をしたこと/しなかったこと」「触れたこと/触れなかったこと」には注意を払う必要がある。現在オバマはイスラエル批判と見られる発言トランプの札を切っていると思われているが、その前に早急に検証しなればならない発言がある。

オバマは厄介で危険な案を紛争解決方法に付け加えた。「和平協定前にイスラエルと関係正常化せよ」とパレスチナとアラブ諸国に要求したのだ。占領にもかかわらず、すでに高度な地政学的協力関係を維持している、いわゆる穏健派親米アラブ諸国は、何のことなのか訳が分からなくなった。生存権すら脅かされている被占領民パレスチナ人に和平協定の条件として占領国と関係正常化せよと要求するのは、馬鹿げているとしか言いようがない。

いったいオバマは紛争や中東情勢が分かっているのだろうか。これまでパレスチナ人が少しでも妥協姿勢をとると、イスラエルとその同盟勢力はパレスチナの弱さの表れと見てきたし、和平前に中東地域の全面的正常化は、「占領は平和への障害ではない」とするイスラエルの主張を証明するだけのことだ。和平前の関係正常化という無茶な条件を出すのは、無知からか、それとも後の逃げ口実のためか。 (マンスリー・レヴュー MRZine 6月7日 エルサレム在住 平和と民主平等戦線(ハダシュ) リューヴェン・カミナー)

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