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更新日:2009/07/21(火)

[コラム] 高英子/"在特会"主体性の危機と被害者意識

「在特会」などが世に出てきた背景

大阪市在住の大学講師・高英子さんは、「在特会」などが世に出てきた背景にある日本社会の変化を指摘する。(文責・編集部)

情報を受け取るだけの「観客」

自宅最寄りの「鶴橋駅」前で在特会一派が宣伝活動している映像をネットで観た。驚いたのは、まず、特攻服を着た旧来の「右翼」ではなく、スーツを着た普通の中年男性が参加していたことだ。

こうした「市民」にも排外主義が浸透しているのかとの危機感と、鶴橋という在日朝鮮人の集住地域で、聞くに堪えない暴言を吐いて宣伝を行うという彼らの居直りのメンタリティに驚きを感じた。

さらに、駅前には総連やその他民族団体の事務所がある。彼らもこれを聞いていたはずだが、全く反撃しないという事実だ。抗議をしてケンカになったっていいはずだが、何事も起こらず宣伝活動は続いた。日本社会の大きな「変化」だ。

梅田の周辺では、様々な外国人ミュージシャンが街頭パフォーマンスを繰り広げ、ここ生野でもタガログ語や中国語がよく聞かれるようになった。日常生活のなかに外国人は当たり前のように存在し、特殊な存在ではなくなっている。

そうした現実が一方でありながら、在特会のように外国人への排外主義が激烈な形で表明されるという現実がある。しかも普通の「市民」がこうした活動を支えているという変化を見る時、日本人全体の問題が浮かび上がる。

まず指摘したいのは、主体の脆弱化だ。大学で朝鮮半島の近現代史を話した上で、学生にグループ発表させたことがある。彼(女)らの締めくくりは「私たちはいつまで恨まれ続けなければならないのか?」という被害者意識だった。

日本の植民地化の歴史を彼(女)らは知っている。その上で、いつの間にか彼ら自身が、恨まれ続ける「被害者」となる。植民地化の歴史を自分たちの側から捉え返すという主体性が失われているのだ。出来事を自分の問題として受け止めようとする主体性の欠如が受け身の姿勢となり、被害者意識を形成しているように感じる。

メディアの影響も大きいだろう。メディアの中で視聴者は、情報を受け取るだけの「観客」として日常的に慣らされているのである。

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