[情報] 京都・在特会デモ見聞記/これはデモではなく、公然わいせつだ
妄想に取り憑かれ被害者意識全開
「バカ左翼は日本から出て行け」「日本が嫌いな朝鮮人は、日本から出て行け!」―こんなトンデモ・シュプレヒコールが都大路にこだました。「外国人参政権 反対デモ」のはずなのに、街頭で叫ぶスローガンは、「反日左翼を舞鶴港にたたき込むぞ」とか、「左翼は犯罪者集団だ」とか、もう何がなんだかわからない。「我々は排外主義者ではない」と言いながら「朝鮮半島へ帰れ」と叫んでしまう支離滅裂さも尋常ではない。
6月13日、京都で在特会(在日特権を許さない市民の会)デモと外国人共生を掲げる市民デモが行われた。在特会のデモでは沿道からヤジが飛び、劇的で緊張感の高い空間が出現した。(編集部・山田)
日本乗っ取り計画?
「外国人参政権に反対するということは戦争だ!日本乗っ取りを目論む在日朝鮮人・韓国人との戦争なのだ!」―デモを前にした集会で主催者はヒートアップしていた。在日が参政権を取得したら、日本が乗っ取られると煽動する。特別永住者は50万人足らず、外国人登録者数は200万人そこそこだ。どうしたら1億3000万人の日本を乗っ取ることができるのか?全く理解できないが、こうした誇大妄想に基づく被害者意識こそが、極右=在特会の特徴である。
集会中、主催者のあまりの事実誤認・無知に対し、「もっと勉強してから言え!」とヤジが飛んだことで、在特会会長の桜井誠氏が「お前、左か!たたき出せ!」と煽動。警察官も入り乱れ、会場の京都市役所前は騒然となった。
その数分後には、「どっきりカメラ」のレポーターのような扮装をした男性が、張り扇で桜井氏の頭を数回叩くというパフォーマンスが登場した。その後の桜井氏の狼狽ぶりには笑ってしまった。府警に対し「さっきのがナイフだったらどうする!」と執拗に逮捕を要求したのである。ナイフと張り扇は少ーし違うよね!桜井さん。
こうした「お遊び」を理解できないのはしょうがないにしても、「警視庁ならこんなことは絶対にない!」と叫びながら京都府警に「厳重な警護」を乞い願う姿は、母親の後ろに隠れて「バーカ!」と叫ぶ小賢しいイタズラっ子そのものだ。
在特会デモを迎撃
こうしたハプニングもあって、在特会のデモはイヤがおうにも盛り上がった。そのスローガンがこれまた凄い迫力!「断固」とか「絶対反対」というフレーズがやたらと多用され、左翼のデモとそっくりだ。発言の内容もなかなか笑える。「日本ほど外国人に対して差別のない国はない」とか「日本の名誉を汚すようなジジイは、生きてる資格はないんだよ」とか…。保守主義者なら家族の価値や年長者への敬意を重視するはず。高齢者をバカにするようなことを言ってもいいのだろうか?
聞くに堪えない罵詈雑言、差別的な言辞を繰り返す在特会デモに、歩道からヤジが飛びまくった。在特会のデモにカウンターをあてて「外国人排斥を許さない6・13緊急行動」が取り組まれていたからだ。参加者約300人は、在日外国人との共生を掲げて午前中に集会とデモを行い、午後からは在特会デモコース周辺で宣伝活動を行った。四条河原町交差点には、「緊急行動」参加者によりプラカードや横断幕が掲げられた。
その最中に爆竹が鳴らされ、在特会は「発砲まがいの妨害」と青筋を立てている(注・爆竹や前出の集会中の抗議について「緊急行動」主催者は、「こうしたことを呼びかけてはおらず、非常に残念」との見解を公表している)。両者がかみ合った1時間ほどは緊張感あるデモだったが、四条河原町を過ぎると「敵」を見失ったか、急にショボいデモに成り下がった。
NHKを糾弾
NHK特番「JAPANデビュー」への抗議行動でも右翼勢力が息巻いており、東京では1000人規模の「市民」が集会に集まっている。
同番組は日本の台湾統治を扱ったもので、「近代日本とアジアの関わりの原点を探っていく」という趣旨。ところが放映後、「反日的偏向番組だ」として、波状的に「市民」デモが行われると共に、右派自民党議員が作る「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」がNHKに質問状を送付。靖国神社参拝を推進する「草莽全国地方議員の会」、保守系メディア「チャンネル桜」などが抗議行動を呼びかけている。「全国草莽の力で、偏向マスメディア解体の正面戦へ!」―抗議行動のスローガンである。
このNHKへの抗議行動は旧来の右翼(=日本会議系諸団体や、自由主義史観による「新しい歴史教科書」を作る運動、「拉致問題」を利用する反朝鮮運動などの参加者)が主導している。抗議行動に多用されている緑は、台湾独立派のシンボルカラーであり、風船・横断幕・ゼッケンなどは緑で統一されている。主催者には日本李登輝友の会、在日台湾同郷会、台湾団結連盟日本支部など、旧来右翼を髣髴とさせる名称を連ねる。