更新日:2009/06/24(水)
[海外] パレスチナ/オバマ、アラブの親米化もとめる
5月25日『ビターレモンズ』より アキヴァ・エルダール(イスラエル人コラムニスト、『ハアレツ』編集員)
オバマ大統領の中東政策に関する新機軸の効果を評価するのはまだ時期尚早だが、彼の予備的行動がすでに従来の米国・イスラエル・パレスチナの3者関係を揺るがしていることは確かだ。
彼がエルサレムで当時の首相エフド・オルメルトと接触するに先立ってパレスチナ自治政府のアッバス議長に電話を入れたことが、この変化の最初の徴候であった。同様に、アラブ・ムスリム世界への外交政策を発表するにあたって、初めてアル・アラビーヤ衛星テレビに中継させたのも、「米政府=ユダヤ・ハウス」というイメージを払拭する狙いがあったからであろう。
さらに、新大統領がイスラエル・ロビーの囚人でないことを示すために、中東指導者第一号としてヨルダンのアブドゥラー王をホワイトハウスに招待した。6月4日には、途中エルサレムに立ち寄ることなく、カイロを訪問する。
こうしたジェスチャーの背後には、「今後米国の中東政策を決定するのはイスラエルやイスラエル・ロビーの圧力ではなく、米国の国益だけである」ことを示そうというオバマ政権の狙いがある。
イスラエル・アラブ紛争の解決案やイランの核疑惑に関する議論についても、オバマは、イスラエル首相ネタニヤフとの間での意見の不一致を糊塗しようとしなかった。
1991年10月のマドリッド会談以降、米国のイスラエルとの「特別な関係」のために、アラブ諸国は米国の中立性への信頼を失っていた。歴代の米政権が絶えずイスラエルに加担してきたために、穏健派アラブ政権に反対する人々が抗議でイスラエル国旗を焼く時は必ず星条旗も一緒だ。
オバマはそんなアラブの対米不信を取り除き、アラブとイスラエルの間では良心的で中立的な介在者としての印象をムスリム世界に打ち立てようとしている。
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