[コラム] 五味正彦/地域おこしとワーカーズコープ
昨年7月15日号のこの欄でワーカーズコープのことを少し書いた。
1年前からのつき合いだが、それまで私個人はこのグループのことをほとんど知らなかったし、多くの人もそうでしょう。そこで彼らのパンフや私の手持ちの資料をもとに私なりの説明をしてみよう。
まずワーカーズコープは当初、労働者協同組合と言っていたが(今でもこの名前も使われる)、2001年頃からワーカーズコープ名を多用するようになっている。
働く者が皆で出資し、経営し、労働し分配する組織だ。労働者による労働(仕事)の協同組合と考えればいい。同じ協同組合でも、農協や生協には、あるいはNPOには法律上の保証や位置づけがあるが、ワーカーズコープには今の日本ではないため、現在大きな活動の柱として「協同労働の協同組合法」づくりを各方面に働きかけている。
似た名称で基本的に同じような組織論のワーカーズコレクティブというのがあるが、こちらは生活クラブ等生協活動を母体にしたほとんど女性たちの団体という特徴がある。一方ワーカーズコープは全日自労という労働組合が母体というのが特徴だ。
もう少し説明を続けよう。全日自労にルーツを持つワーカーズは、「日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)」連合会」という全国組織を持ち、東京の池袋に本部事務所をつくっている。一方ワーカーズコレクティブも全国的なネットワークを持っていて、こちらは新宿に事務所がある。
もちろんワーカーズコープ(コレクティブ)も、どちらの団体の独占物ではないので、互いに連帯しながらも、どちらにも属していないワーカーズもいくつもある。パラマウントという靴会社がつぶれた時、労組がその仕事を引き継いだワーカーズは有名。国労関連でJRへ行かな(行けな)かった諸君も各地でワーカーズをつくった。出版関連のフリーの人たちも東京と関西でワーカーズをつくったが、今はどうなっているのだろう。
話は労協連合会のワーカーズに戻る。今年全国組織ができて20年になるそうだ。その節目の大イベントを6月12〜14日、東京の立川で行い、私も一部参加する予定だ。
そしてこのグループの従来の仕事の中心だった、清掃・ビル管理・福祉事業・自治体の業務受けから、最近は、食や農の分野への進出に意欲的だ。
食と農の分野というのは、私がここ数年、自分の最後の仕事にしている分野。森林の再生も含めてだ。食・農・森という部分は漁業を合わせ、第1次産業。
この第1次産業×加工(工業=第2次産業)×流通・販売(第3次産業)の1×2×3=6次産業がこれからの、地域おこしのキーワード。私はいくつかの分野・テーマ・地域でワーカーズの諸君と組んでいくつもりだ。