更新日:2009/06/24(水)
[社会] 北朝鮮核実験/受益者は日米軍事産業、被害を被るのは北朝鮮民衆だ
核実験を強行
北朝鮮の核実験は、オバマ大統領が核軍縮を進めるとの決意を表明した後だっただけに、際だった印象と失望感を世界に与えた。これまで編集部は、くり返し「北朝鮮の軍事的脅威」が根拠のない「偽りの現実」であることを指摘してきた。
しかし北朝鮮が米国の軍事的脅威にさらされ続けているという現実を鑑みても、なお核兵器という危険な外交カードによって自国の安全を保障しようとする姿勢は批判されるべきだ。
北朝鮮の核実験は、世界と北朝鮮の安全保障には何の役にも立たず、逆に制裁によって北朝鮮民衆に大きな被害をもたらすだけだ。核実験実施の受益者は、北朝鮮民衆ではなく、日米の軍需産業であることも北朝鮮指導部は知るべきだ。
慶応大の小此木政夫教授は「北朝鮮は次にはICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射する可能性が高い」との見方を示している。今後、日本国内でも「北朝鮮の脅威」がさらに煽られ、ミサイル防衛構想をはじめ巨額な軍事予算を容認する世論形成が目論まれることだろう。こうした日米軍需産業の見えにくい動きこそ警戒すべきである。
軍事費を民生予算へ
北朝鮮の軍事費は、公表された数字では国家予算の15%程度となっているが、実質は約30%=年間5000〜6000億円と推定されており、うち4000億円近くを核・ミサイル開発に費やしているようだ。
また、陸軍110万人兵力を維持するために、兵役期間が10年と極めて長く、元々GDPが1.2〜2.4兆円と低迷する北朝鮮経済に与える負の影響は極めて甚大である。
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