[反貧困] 60億のプレカリアート
はじめに
2009年春、今年も全国のフリーターユニオンなどがメーデーイベントを開催した。
東京のフリーター全般労組は「60億のプレカリアート」と銘打って「自由と生存のメーデー」を開催。全世界の人々の大多数を占める不安定生活者=「プレカリアート」の団結を呼びかける壮大な大風呂敷だ。派遣切り・年越し派遣村に象徴される雇用危機のなかで、「これまで経験したことのないような『生存』を争う闘い」として、全国の仲間に連帯を呼びかけた。北海道・北見から九州・熊本まで、20ヵ所以上の地域でデモや講演会などのメーデー関連イベントが相互に連携を取りながら独自に開催された。各地の取り組みの報告を寄稿していただいた。(編集部)
自由と生存の連帯メーデー in 札幌 '09 実行委員 竹ノ内研司
今年もまた、てんでんばらばらのプラカード、DJフロート(サウンドカー)の周りで踊りまくる人々、仮装集団、ギターを奏でる人、骸骨のパペット軍団、かと思えば、由緒正しいシュプレヒコール集団も含めた異様なパレードが1時間、札幌中心街を行く人たちの目を引き付けた。
私たちが昨年、手探りで札幌初のインディ系メーデーを「でっちあげ」てから1年。随分いろいろなことが変わった。
世界中からアクティビストたちが集まった洞爺湖G8反対のお祭り騒ぎと、かつて見たこともない異常な過剰警備と不当弾圧を受けたサウンドデモ。その後に来た、ただでさえ雇用の厳しい北国も飲み込む、世界的大不況の現在進行形の計り知れない閉塞感。
私たち自身の不安定さを反映して、実行委員の顔ぶれも入れ替わった。既存の労働運動や組織に頼らず囚われず、自分達の生きづらさに反撃する場を、立場を超えて勝手に集まり勝手に作り上げる。それはしかし、自分達の不安定さとの闘いでもあったと思う。
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今年のタイトルは、「つながり ひろがり、わたしたちは増殖する― 自由と生存の連帯メーデーin札幌09」。
多様な人々が、まず、つながっていくこと、そして広がりをつくっていくこと―これが私たちが最初に掲げた一致した思いだった。
とはいえ、多様を一つにまとめるのは簡単ではない。多様な意見が飛び交い、思いが交錯し、議論は巡り、時に衝突も起きる(タイトルも、長くなったりする)。