[政治] 脇田憲一氏に反論する/北朝鮮叩きに反対し日本の民主化徹底こそ歴史的責務
──大阪・ソウル書林代表 李慈勲
北朝鮮叩きに反対し日本の民主化徹底こそ歴史的責務
まず、脇田氏の原体験に対して敬意を表したい。その上で、アジア冷戦の起点となった朝鮮戦争とロケット発射について反論する。
まず、朝鮮戦争について。朝鮮戦争の歴史的な原因は、「日帝侵略による分断」にあるとすれば、日本の一部の進歩勢力に良く見る歴史的認識に大同小異である。戦争の経過は大筋、氏の書かれる通りだが、民族国家成立に伴う正統性見地から見れば、民族解放戦争の歴史的当為性に対する歴史的認識に不足がある。
北朝鮮が冷戦の「捨て子」という論理であれば、祖国の防衛と自尊・自立・独立に対する国家戦略と、冷険とした国際政治の非情の現実についての認識と理解がかけ離れている。
ロケット発射実験は米国を始め、一部の国家は日常茶飯事で行っている。それなのに北朝鮮だけが非難されるのは、明らかに公平ではない。このロケット発射実験は、07年3月の6ヵ国協議における「行動対行動」原則についての合意が不履行されたことからくるものである。
そして、米国や日本の右翼は、これをきっかけにして軍事産業の育成と日本の平和憲法をないがしろにする口実に走っている。
また脇田氏は「キューバに学ぶべき」といわれるが、北朝鮮とキューバではあまりにも事情が違いすぎる。「分断国家」の地政学的な環境と認識があまりにも不足しているのではないか。
「独裁体制云々…」は、基本的に民族自決の原則と、国家内部の人民の歴史的・政治的判断と主体的な選択による事が原則的でしょう。
日本の進歩勢力と民衆は、まず明治以後アジア侵略に対する徹底的な歴史的清算と、拡大再生産されつつある右翼的反動の潮流に歯止めをかけ、より進歩的な国家をつくる事が、アジア民衆からの信頼と連帯に繋がるでしょう。
また、拉致事件は国家を代表して日本民衆に対して正式に謝罪し、02年に「日朝平壌宣言」を出した。しかし、日本の右翼はマスコミを使って北朝鮮バッシングに走り、世論を誤導している。これに対しても声を上げ、自国の民主化を徹底しなければならないと思う。これこそ、進歩勢力の歴史的責務ではないだろうか。