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更新日:2009/06/07(日)

[海外] パレスチナ/2国解決案?
3月16日 『占領マガジン』(http://www.kibush.co.il/)ザルマン・アミト&ダフナ・レヴィト

2国解決案、1国解決案…それともゼロ解決?

中東紛争をめぐって最近一番よく耳にする用語は、「2国解決案」と、新しく台頭してきた概念である「1国解決案」であろう。2国解決案は多くの人にお馴染みだが、この発想は新しいものでなく、人によって異なった意味を提示する八方美人的「素敵なモノ」である。

しかし、今や2国案も1国案も、「実現不可能な概念だ」と思っている人々が多くなっている。ゼロ解決案が現実を最も忠実に反映した言葉であろう。

2国案の概念は、20世紀初頭に生まれた。シオニストは、「民なき土地を、土地なき民に」というザングウィルのパレスチナ描写が、現実に反していることを知った。聖書的・神話的郷土は無人の地ではなかったのだ。先祖代々住み続けていて、外国からのニューカマーに土地を明け渡す気がない人々がいたのだ。

この事態に対して、ヘルツルやノルダウのようなシオニズム指導者は、他の土地にユダヤ人郷土を作ることを考えた。ウガンダがその候補地だった。しかし、ウシシュキンが率いるロシアのシオニスト・グループの大反対で、シオニズム運動は分裂の危機に直面した。そのため、ウガンダ案は潰れたのだった。

かくして、ユダヤ人郷土作りは、「パレスチナを現住民(パレスチナ人)とヨーロッパからの移民ユダヤ人の間で分割する」という方向で纏まった。この案の萌芽は、「英国への戦争協力と引き換えに、ユダヤ人郷土をパレスチナに作る」と約束したバルフォア宣言(1917年)に見られる。同宣言はまた、「パレスチナに住むアラブ人の権利も認め、保護する」と約束していた。英国政府はあまり深く考えなかったに違いない。バルフォア宣言から導き出せる解釈は、2国案以外にはなかった。

アラブはバルフォア宣言を認めなかった。英国がヨルダン川から西の地域の統治を国際連盟から委任された直後に勃発したアラブの反乱は、様々な形で1939年まで続いたが、これは「分割して支配する」植民地主義経営が招いたものである。

ベングリオンの東方拡大戦略

ニューヨークのビルトモア・ホテルでシオニスト会議が開かれ(1942年)、一部から強い反対があったが、「ユダヤ人主権郷土(国家)はパレスチナ分割によって実現できる」という綱領を採択した。以来、ユダヤの取り分を最大限にすることが指導者の目標となった。ベングリオン(イスラエル・初代首相)の戦略は、「分割は受け入れるが、同時に機会あるごとに境界を東へ広げ、将来のユダヤ人国家領土の拡大に努めること」だった。

第2次世界大戦後、ユダヤ人国家作りは勢いを得て再開された。戦争直後の状況は、シオニスト指導部にとってこの上もなく好都合であった。世界中がホロコーストに驚愕し、大国が競ってユダヤ国家誕生を支持した。英国はパレスチナ委任統治の返上を国連に通告、それを受けて国連委員会が設立され、総会に対してパレスチナ分割案を提案した。当時パレスチナ人口の33%を占めていたユダヤ人にパレスチナの面積の56%を配分し、人口の3分の2を占めるアラブ人には44%という不当な提案だった。

ユダヤ人は喜んでこの提案を受け入れたが、アラブ側は、当然ながら拒否した。それが原因で1948年戦争が勃発する。翌49年に戦争はイスラエルの決定的勝利で終わった(この戦争をイスラエルは「独立戦争」と呼び、パレスチナ人は「ナクバ」(大破局)と呼んでいる)。

同年末、国連の指導でロードス島で休戦会議が行なわれ、何とイスラエルは国連決議の56%どころか、78%の領土を勝ち取った。前述したベングリオンの戦略が成就したのである。

残る22%が現在の西岸地区とガザで、前者はヨルダン領、後者はエジプト領となった。両国とも独立パレスチナ国樹立へ向かう努力はせず、単に領土を少し増やしただけであった。

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