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更新日:2009/05/07(木)

[コラム] 脇田憲一/朝鮮戦争と北朝鮮の「脅威」を考える

朝鮮戦争の原体験=日本共産党の軍事闘争路線

前号(通巻1342号)本紙1面の「北朝鮮ロケット発射」記事について、筆者は今号掲載のコラム(ぷりずむ)で「異議あり!」と批判原稿を書いた。早速編集部から電話があって「短いコラム記事では筆者の真意が読者によく伝わらないから」と、本文原稿の依頼を受けたので筆を執った次第である。コラムにも書いたが筆者の北朝鮮批判は、朝鮮戦争当時のある事件の原体験がベースにある。筆者にとっては生涯的なテーマでもある。

これについては事件から50年の歳月を経てようやく、事件当事者の生きざまを拙書『朝鮮戦争と吹田・枚方事件─戦後史の空白を埋める─』(明石書店刊、844頁、04年3月発行)に書いた。関連本としては吹田事件研究会のジャーナリスト西村秀樹氏の『大阪で闘った朝鮮戦争─吹田枚方事件の青春群像─』(岩波書店刊、259頁、04年5月発行)がある。初めて日本人民と朝鮮人民の埋もれた共闘が歴史が表に掘り出されたのであった。

筆者の原体験とは、東側陣営のソ連・中国共産党と一体であった日本共産党の軍事組織に属し17歳の少年コマンドとして最初に受けた任務は吹田・枚方事件であった。具体的には朝鮮戦争2周年を期して52年6月、米軍の朝鮮向け迫撃砲弾を製造する旧枚方陸軍工廠(現小松製作所枚方工場)に深夜塀を乗り越えて侵入し、砲弾打ち抜きプレス機ポンプに時限爆弾を仕掛ける見張りの任務であった。その行動は失敗(未遂)に終わったが、日朝青年コマンドの逮捕、裁判、投獄によって被った権力弾圧の犠牲と被害は計り知れなかった。

そしてなによりも大きい心の痛手は、朝鮮戦争休戦後の日本共産党と北朝鮮労働党の路線転換によって、まるで手のひらを返したように日米の侵略戦争と闘った革命的日朝青年たちの反戦行動に対して、なんら正当な総括をすることなく極左冒険主義という名目で全面否定し抹殺したことであった。

アジア冷戦の起点となった朝鮮戦争(=米中戦争)

朝鮮戦争は50年6月朝鮮半島の北緯38度線を挟んで、「北朝鮮軍」と「韓国軍」の衝突によって勃発した。この時点では同一民族間の内戦であったが、第2次大戦で日本の植民地であった半島の南北を米国とソ連の異なる国の軍隊が解放して占領した経緯から、統一国家としての独立交渉が失敗して南北分断国家が47年にそれそれ独立宣言をするという不幸な事態が発生していた。

では朝鮮戦争とはどんな戦争であったのか。筆者の私見を述べれば次のように要約できる。

@50年6月に勃発した朝鮮戦争の最初は北朝鮮金日成軍と李承晩軍との同一民族の内戦であったが、米軍と中国義勇軍の参戦によって事実上の米中戦争となった。ソ連軍は一部空軍を除いて手を引いた。(スターリン死去によって米ソ和解があり、中ソ対立が生じた)

A朝鮮の米中戦争は東西冷戦のアジアにおける起点となったが、戦争は38度線を挟んで激戦の攻防をくり返したが結着がつかず、ソ連の仲介で3年後の53年7月ようやく休戦協定にこぎ付けた。中国参戦は毛主席の独断的決断にあったとされるが、中国義勇軍の死傷者(西側推定60万から90万、中国側推定36万人〜死者13万人)の多くは中国東北部の朝鮮族中国人義勇兵であったとされる。なぜ毛沢東の決断であったかは未だに謎である。

B中国の朝鮮戦争で受けた打撃は大きく、中国のアメリカ帝国主義をアジアから放逐するという攻撃路線は、1歩引いて台湾と朝鮮で阻止するという防衛路線に転換したということである。要はよく戦って本土を防衛したという評価であり、朝鮮戦争に関しては5分5分の成果であったということである。

Cアメリカはどうかということだが、これはマッカーサーが中国東北部侵攻−原爆投下作戦を意図したことに対してトルーマン大統領が極東司令官を解任するという大決断をしたということで限界が表面化した。そして朝鮮戦争特需は日本の旧軍事産業に丸投げしたのでアメリカは戦争経済で儲けることができず、朝鮮特需で肥え太ったのは日本の旧軍需産業だけだった。

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