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更新日:2009/05/01(金)

[コラム] 迫共(さこともや)/保育所民営化は何を解決するのか

ここにも規制緩和の落とし穴

咋年10月末、首都圏で保育所「ハッピースマイル」などを運営していた「エムケイグループ」が、経営難を理由に26施設を突然閉鎖した。自治体は経営悪化を事前に見抜けず、総計約2500万円の補助金が回収困難となっている。閉鎖直前には、補助金などを担保に3000万円に上る借金もしていたという。

保育所に入れない待機児童は約2万人。国や自治体は、保育事業への民間参入を認めて、受け入れ先を増やそうとしている。特に都市部では、条件の厳しい認可保育所では受入数が足りず、自治体は条件を緩めて独自の補助制度を設け、保育所運営に参入する企業などを確保しようとしている。

だが、保育所運営に関わる身として言いたいのは、そもそも保育なんて儲かる仕事ではないということだ。補助金の範囲内でできることは限られているし、子どもたちのために食費などの予算を取り、人件費を確保すればもうカツカツだ。利益優先で人件費を削れば保育の質の低下は否めない。民間頼みだけで保育施設の量を増やそうとすればこういうことが起こる。お金儲けと保育や福祉の両立は難しい。そして一度参入を認めると、問題が起こっても簡単には元に戻せなくなってしまうのである。

「全員入所できる」との言葉に踊らされ、保育の内実が貧しいものになる可能性には目もくれず、規制緩和に引きずられると、結果として全体的な質の低下につながる危険性は高い。もちろん質が低下せず、多くの乳幼児に適切な保育環境が与えられることを願ってやまないのだが。

母親にも、子どもにも、保育士にも迷惑

2月8日、「厚労省は、利用者が認可保育園に直接申し込んで契約する仕組みを導入する方針を固めた」と報じられた(読売新聞「希望の保育所選べます、新規参入も促進…厚労省方針」)。注意深く読めば、この記事が規定路線でないことは分かるのだが、規制緩和を積極的に推進させたいのか、読売新聞は06年元旦の朝刊で「政府・与党は、(…)義務教育に幼稚園などの幼児教育を加え、期間を10〜11年程度に延長する方針を固めた」と報道したことさえあるが、現時点でそのような事実はない。これなどは元旦の朝刊という誰もが読むタイミングを狙ったもので、悪質であった。「新聞に書いてあるんだから間違いないだろう」と思う人は少なくない。後で違うとわかったとしても、最初の印象は残る。

景気悪化に伴い、働く母親が増加して、保育所入所が一層困難になっている。大企業は職員を切り捨て、母親たちを低賃金労働者に仕立て上げる。急場しのぎに保育所を増やすならば、やがて利用者が減ったとき、保育士たちはどうなるのか? 大企業の都合で保育や教育の場を操作するのは非常に迷惑な話である。

一方で、嘆くばかりではらちがあかないので、私たちも大阪市鶴見区に保育所を新設し、私が園長に就任することとなった。本年6月開所予定で只今、保育士募集中。ご希望の方は06─6967─3455、みつばさ保育園 迫(さこ)までお問い合わせ下さい。

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