[社会] 定額給付金&高速道路料金値下げ トクをするのは誰?
はじめに
生活支援なのか、景気刺激策なのか、目的も不明なら効果にも疑問符が付けられ、麻生総理の愚かさの象徴と受け取られている定額給付金。編集部周辺でも「受け取ったら何に使う?」と町家談義がかまびすしい。
定額給付金とセットで売り出されているのが、「1000円走り放題」の高速道路料金値下げ策だ。ガソリン高騰騒動から半年も経っていないのに、化石燃料浪費社会への反省はもう忘れ、地球温暖化対策もどこへやらだ。
計上された予算は定額給付金で約2兆円、高速道路料金値下げで約5000億円。出所は「霞ヶ関の埋蔵金」だ。これで本当にトクをするのは誰なのか?(編集部)
事務的経費でおトク!
庶民の飲みニケーションを活性化する以上にお得感を満喫しているヤカラの存在がある。それはどうやら、また金融機関だ。ほんの少し前、06年秋ごろには「空前の利益」をあげ、それまで無利子で国から借りていた借金を完済し、その後も法人税免除を受け続けている、あの銀行サマだ。
定額給付金の給付までの流れは、自治体によって異なるがおおむね以下の通り。まず、自治体から各世帯に申請書が送付され、各世帯は申請書に必要事項を記入して自治体に郵送して申請する。給付金は原則として、自治体の指定金融機関から各人の銀行や郵便局(ゆうちょ銀行)への振込みにより支給される。さんざんテレビ報道された、役人が自ら走り回ってお年寄りが手渡しで受け取って「大事に使います」なんて心温まる絵図は、人口が特に少ない一部地域での話だ。
政府は第2次補正予算において、給付金の事務費として825億円の予算を計上している。このうち、給付申請書類の郵送費として約270億円が郵便局のフトコロに入る。振り込み手数料として約150億円が、銀行などに入る。郵便局と自治体指定金融機関の銀行は、座っているだけでこれだけの収入を得るわけだ。
150億の分捕り合戦
ただ振り込み手数料をめぐっては、みっともないことに自治体と指定金融機関が対立する事態となっている。福井県内では、国から手数料軽減の圧力をかけられている自治体側と、時間外労働や専用ソフト開発など給付金対応費のかかる銀行側がモメている。自治体側は「原則無料」を求め、銀行は各世帯への振り込み手数料として「300円程度」とする(国から受け取る)案を提示したという。
東京23区とみずほ銀行は、同行口座への振り込みを無料、他行へは41円とすることで合意したが、熊本や鳥取、北海道で自治体と金融機関の交渉が難航している。1万2000円を皮算用してうきうきしている庶民を尻目に、指定金融機関は150億円のぶんどり合戦をしているのだから、それ自体が「さもしい」状況だ。(3月6日7日 読売新聞)