[海外] ガザ/空爆のもたらす子供たちへの深刻な心理的影響
──ガザ保険労働委員会 医師・ユセフ・モーザ
日常は戻っても傷は癒えない
23日間のガザ攻撃で1314人の住民が死んだと、パレスチナ保健省の発表した。しかし休戦後も多くの地域で、瓦礫や家屋の残骸の下から次々と死体が見つかっている。
また国連は、「ガザの住民が攻撃の矢面に立ち、412人の子ども、100人の女性が死亡、5450人の市民が負傷。空襲で住居を破壊され、数百万人がホームレス状態となった」と報告している。
空襲と砲撃が市民生活のインフラを破壊し、今も日々の食糧や燃料の供給、電気・水道・公衆衛生サービスがストップしたままだ。
まず、パレスチナの子どもたちに関する考察をレポートする。
@子どもはパレスチナ人口の50%以上で、パレスチナ社会の最も貴重な人口層であるが、爆撃、家屋破壊、その他日々繰り広げられる暴力によって危機的な影響を受けた。
Aイスラエルの攻撃による住居、学校、診療所、水道・電気施設などの大規模損傷はまだ広範に見られる。
B子どもの死亡の45・2%はイスラエル占領軍のミサイルによるものである。
Cパレスチナの子どもの80%までがなんらかの行動に関する問題を抱えている。その一部は、粗暴化/恐怖感や不安感による不眠/家族や地域への愛着感の変化/注意集中力低下などの情緒的・認知的諸問題/未来への希望減少だ。
激増した子どもたちの異常行動
「国連・子どもの権利委員会はガザで進行中の軍事交戦が子どもに及ぼす破壊的影響を憂慮する」と、ジュネーブで開催された子どもの権利委員会が声明を出した。
何百人もの子どもの命が失われ、怪我―それも重傷を、負った。愛する親兄弟を失った子どもたちも多い。戦闘継続、生活や基本的インフラの破壊のため、人権、とりわけ健康、教育、家族生活に関する基本的人権が、著しく損なわれている。
紛争、占領、暴力の過去8年間、パレスチナでは心理社会学的ケアの必要性が強く認識されていた。軍事侵攻、移動制限、ターゲット・キリング(暗殺)、逮捕、屈辱、テロ行為拡散、経済状況、貧困などが、子どもから老人まで、すべての人々の心に影響を与えてきた。
とりわけ子どもたちに被害が集中している。学校へも行けないし、病気や怪我をしても、エレッツ検問所を通過できないため病院へ行けない。
ムスリム・エイドの精神科医マヘル・ワハバは、家族や友人を失った子どもたちが病んでいる心理的トラウマをケアすることが第一の仕事だ、と言っている。「あの子たちはひどく病んでいる。多くの病例、多くの心理障害…攻撃的行動に走ったり、悪夢にうなされたりしているのをたくさん見てきた」と語る。