更新日:2009/03/08(日)
[政治] 大阪府知事・橋下徹 観察日記3
民意のいいとこ取り
府知事・橋下徹の支持率が異様だ。先月、橋下府政一周年を期に新聞各社が世論調査を実施したが、毎日新聞は69%、産経は81・6%で読売は82・3%。どうしたものか。
一方、読売の世論調査によると、優先的に取り組んでほしい課題としてあげられたのは、トップが「医療や福祉の充実」で79・5%(複数回答あり)。「府の行財政改革」の70・3%を上回った。しかし橋下は素通りする。「みなさんが求める福祉や医療政策は何もできない。権限や財源がない。それらを国が府に渡してくれれば、霞ヶ関よりはるかにましなアイデアを出せる」(2月4日記者会見)。しかも官僚攻撃にすり替え、「改革派」をアピールする狡猾さだ。他の施策では「府民感覚」や「民意」をことさら持ち出して自身の主張する政策の根拠として利用し、結局、「民意」のいいとこ取りで橋下のやりたいことだけをやるだけのことだ。
実際、この1年間の記者会見での発言回数を見ると、「財政」は半年で277回登場。「教育」は9月だけでも285回。年間では636回と飛び抜けて多い。一方で「医療」は年間39回、「福祉」は28回。報じた朝日新聞は「関心の薄さが明白」とあきれたトーンだ。(09年2月3日)
大規模開発は放置
橋下の財政改革の正体は、関西財界・銀行・ゼネコンに大甘の、大規模開発・利益誘導型であり、従来のハコモノ行政と本質的に変わらない。「大阪維新プログラム」で大規模開発に認めた今後の執行予定額は、阪神高速大和川線や安威川・槇尾川両ダムなどで合計1兆5千億円。銀行への利子払いは毎年3〜400億円。財政逼迫の要因は公共事業や大規模開発だが、ここで甘い汁を吸ってきたのがゼネコンや銀行は野放しだ。やつらの責任は何も問われていない。
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