[海外] ガザが壊滅すれば次はヨルダン川西岸
──サラ・ロイ(ハーヴァード大学中東研究センター)ロンドン・レビュー・オブ・ブック・2009/1/1より
ガザ封鎖の影響
イスラエルが、11月5日から始めたガザ封鎖は、ハマスとの休戦を潰すのが目的であることは明らかである。
イスラエルのガザ封鎖には、二つの目的がある。一つは、ガザのパレスチナ人社会は、飢えた人々の集団にすぎず、人道主義的問題の対象にはなっても、何らの政治的アイデンティティを持たず、従って政治的主張をする資格もない、単なる人々の群れにすぎないように見せること。
第二は、できればガザをエジプトに押し付けること。だから、ガザとエジプトを繋ぐ何百という秘密のトンネルが掘られていることに、イスラエルは比較的寛大なのである。トンネル付近には、闇市とはいえ、商業センターが整っているほどである。ガザ住民の圧倒的多数は極貧状態で、失業者は49・1%、就業している者も安定雇用とはほど遠い状態。
11月5日イスラエル政府はガザへの出入り口すべてを封鎖し、食糧、薬品、燃料、上下水道システム修理・補修に必要な部品、肥料、ビニールシーツ、電話機、紙、接着剤、靴、コップがガザに入って来なくなった。入ってきてもごく僅かである。
オックスファム(貧困者救済機関)によると、11月にガザへ入ることを許可された食糧救援トラックは合計137台のみ。1日平均4.6台になる。ガザへの主要な食料供給機関はUNRWA(国連難民救済事業機関)とWFP(世界食糧計画)。UNRWAをは、75万人の食糧供給を行なっていて、1日15台のトラック搬送が必要である。11月5日から30日の間にガザに入ったトラックは23台で、必要台数の6%にすぎない。
12月18日、UNRWAは、イスラエルの封鎖のため、通常食糧配給と緊急食糧配給の両方を停止した。WFPも同じ問題を抱えており、予定の197台のうち輸送できたのは35台だけであった。その上、未輸送食糧の倉庫保管料が、11月だけでも21万5千ドルかかり、本来パレスチナ人救済のために使うべき金がイスラエル倉庫業者の懐に転がり込んでいく。