[社会] 家族モデル・ジェンダー問題が生む貧困─男性の課題
12/6座談会★労働と家族を考える★
12月6日、『座談会 労働と家族を考える』(主催:生活保護切下げ反対実行委員会)が開催された。
しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西の中野冬美さんが「シングルマザーのかつてといま」をテーマに報告。女性の労働と貧困について、「30年前と同じことを言わざるを得ない」と、一向に変革の進まない深刻な社会状況に怒りを込めた。ゲストアドバイザーとして東京から駆けつけた栗田隆子さん(フリーターズフリー/女性と貧困ネットワーク・呼びかけ人)は、「女性の闘った歴史が伝わっていない。断絶の歴史を止めたい。同じことは繰り返したくない」と応じた。1986年に労働者派遣法が制定された際、女性たちは「男女雇用機会均等法とセットで導入されることの問題」を訴えたが、そのような闘いも引き継がれていないことを例に挙げた。
参加したシングルマザーは、「反貧困運動をまた『オトコの祭り』にしたくない」と述べた。これはかつての学生運動や労働運動における主役があくまで「男性」であり、女性は従属的な役目を担わされてきたこと、それゆえに女性解放とはほど遠い成果しか得られなかったことへの厳しい批判だ。
女性の労働と貧困
中野さんは女性の労働と子どもの貧困について、「夫婦子ども2人」というモデルによる「標準世帯」というシステムが、いっそう母子家庭の母と子を貧困に追いやっていることを強調した。また「できない人や支援の少ない人」を排除する風潮が強まるなかで、「同一労働同一賃金は、家事労働をも勘定しようというもので、1つの変革のアプローチだ」と述べた。
中野さんによれば、「家事労働に賃金を」というスローガンに最も強く反発したのは、主婦だったという。「金で計れない仕事をしている」というプライドゆえにだ。だが、家事労働は「不払い労働」(上野千鶴子)であり、同時に気働き・気配りに基づく感情労働でもある。「同一労働同一賃金」は、「金で計れない価値」を受け入れていくためのレッスンなのだ。