[情報] 釜山-広島「原爆の火」灯すキャンドルナイト
日韓共同クルーズピース&グリーンボート2008
周到な準備重ね、「恨」に向き合う
63年間燃え続ける「ヒロシマ原爆の残り火」。これを韓国に運んでロウソクに火を灯し、「日本と韓国の両国の悲しみや恨みを超えた平和な心で一つにすることに挑戦する」催しが行われた。題して「Candle Night Pi:ce」。
アメリカによる日本への原爆投下は、残虐な大量破壊兵器の使用であると同時に、アジア人民にとっては日本帝国主義の支配を終わらせたと評価する声もある。日本・韓国・朝鮮、そして在日韓国人/朝鮮人と、それぞれが抱く原爆への感情。その多様な思いの中で、韓国で「原爆の火」を使ったキャンドルナイト。同実行委員会・代表の吉澤武彦さんに話を聞いた。(編集部)
泣き崩れる参加者も
「Candle Night Pi:ce」(以下、キャンドルナイト)は、日本のNGO「ピースボート」と、韓国の「環境財団」の共催による日韓共同クルーズ「ピース&グリーンボート2008」の一企画として行われた。
もともと、2003年から夏至・冬至の日の夜に、環境問題を訴える「100万人のキャンドルナイト」が行われていた。昨年11月、原爆の残り火が今も燃え続けていることを知った吉澤さんが、「これでキャンドルナイトをやったらどうだろう?」と考えついたことから、「原爆の火キャンドルナイト」は始まった。「原爆の火」をキューバに分灯し、世界に平和を訴えていこうという「世界ともしびプロジェクト」も進行中だ。
今回の企画について吉澤さんたちは、「主催者がしっかり準備しなくては、内容が軽くなってしまう」と、事前の準備を早くから始めた。まず「原爆の火」を釜山と広島に運ぶ「ピースフレンド」を募集。東京の女子大生2人と、大阪の在日韓国人青年Sさんが名乗りを上げた。
広島の被爆者団体を訪問し、韓国では、日本に対する「恨」を肌で感じるためにナヌムの家、独立記念館等を訪問。在日コミュニティーへの聞き取り調査をまとめ、報告もおこなった。
参加者は、元慰安婦が「日本のことは嫌い。話したくない!」と語る「恨」の重さ、今なお侵略や被爆で負った心の傷を抱える人々の姿の前に、立ち止まりそうになりながらも、「覚悟と自信を持ってやろう!」とキャンドルナイト実現に向けて進んでいったそうだ。