[海外] パレスチナ/オランダ企業、入植地の不法性認めて投資を引き上げ
10月26日 パレスチナ・ニュース・ネットワークより
CSR(企業の社会的責任)とは?
オランダのテンポ・ビール産業ドリンクがイスラエルに設立した子会社、バルカン・ワイナリーが、バルカン入植地から投資を引き上げる決定をした。その事に関し、パレスチナの人権団体「アル・ハク」は、次のような公開書簡を、オランダ大使館、イスラエル、PAへのオランダ代表事務所、ハイネケン・ネーデルランド社へ送った。
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我々、占領地においてパレスチナ人の人権を擁護・促進する「アル・ハク」は、テンポ・ビール産業ドリンクの子会社バルカン・ワイナリーが、不法入植地バルカンの産業地域における企業活動から引き上げる決定をしたことを、心から歓迎する。この決定は、オランダ国民、ハイネケンN・V(テンポ・ビール産業の株を40%所有)及びオランダ政府の活動と後押しで実現したCSR(企業の社会的責任)の結果である。
CSRは、企業が自社営業活動の影響が及ぶ範囲で、社会悪、とりわけ人権侵害に加担することがないように、自社の供給ライン全体を通じて責任を行使するプロセスである。《企業が人権法に従う倫理的責任がある》という規準は、世界人権宣言の序文に述べられている。そこでは、「社会の各個人及び各機関は…それら(人民の権利と自由)の普遍的かつ効果的な承認と遵守とを…確保することに努力する」とある。
占領地では入植者の露骨な利益のために、パレスチナ人の人権が徹底的に侵害されている。そもそも第4回ジュネーブ協定は、「占領国が自国民を占領地へ植民すること」を禁止している。それに国際人権慣習法によっても、「占領地への入植行為」は戦争犯罪とされている。従って不法入植地での操業活動は、いかなる企業といえども、国際人権法違反の共犯者となるのだ。
国際法のもとでは、企業も人権法などの国際法遵守義務がある。しかし、それを強制する国際的制裁メカニズムが弱いために、企業の法遵守は自発的ボランティアの分野に留まっているのが現状である。そういう中でオランダで消費者・企業・政府の関係が正しく機能して、入植地を通して不当な利益をあげる企業活動を中止する決定を実現させたことを、我々アル・ハクは、その正義感と勇気に心から賞賛する。