[社会] 911の真相はあやうい仮説の積み重ねでは究明できない
なお残る 真相究明の意義 アメリカ政府の国家テロを弾劾するために
11月1日(土)、人民新聞社主催で開催した「911真相究明フォーラム」は、デヴィッド・レイ・グリフィン氏やきくちゆみ氏ら真相究明運動の主張と、それへの批判とが直接、公に対決する日本で初めての機会となった。
「911同時多発テロ」事件から7年たった今も、米国政府は真相究明運動の提出した疑問に応えないままだ。
一方、真相究明運動の主張にもあやうい点が見られ、批判も少なくない。真相究明運動自体を相対化しつつ、双方の主張を聞く中で「何が事実か?」を可能な限り明確にすること。その作業を通じて、政府発表やマスコミ報道を鵜呑みにするのではなく、自ら考え、行動する世界の主権者としての姿勢を問いかけること。それが今回のフォーラムの目的だった。
フォーラムの報告とともに、真相究明運動への見解を改めて表明する。(編集部)
はじめに
編集部からは主に、旅客機が突入して建物の一部が崩壊したペンタゴン(国防総省庁舎)の事件について質問した。真相究明運動は「旅客機の突入はなかった」「ペンタゴンに突入したのは巡航ミサイルか軍用機である」「事件は政権中枢による内部犯行である、と示唆している。(1326号、1327号参照)
【旅客機の残がい】
ペンタゴン内部や建物周辺では、爆発してバラバラになった機体の一部や遺体が発見されている。「機体の残がい」とされる写真は、インターネットを利用すれば誰でも見ることができる。会場でも機体の胴体やエンジンの一部、ランディング・ギアの一部とされる物の写真を示した。ペンタゴンに突入したのがボーイング機でないならば、これらはいったい何なのか。
グリフィン氏は、アメリカ政府の「いかがわしさ」について詳しく述べた上で、残がいは、政府側の人間が「置いた」ものだと考えられると述べた。しかしこのグリフィン氏ら主張は「政府が謀略を働いた」という仮説を前提にした推論であり、具体的な証拠が示されることはなかった。
【ペンタゴンの穴】
激突した箇所の外壁の穴の大きさが問題となっている。編集部で『ルース・チェンジ』などで使われている写真とNIST(米国国立標準技術研究所)の写真の矛盾点、すなわち旅客機の突入箇所は建物の1階部分であるのが事実なのに、2階部分だという誤りについて指摘した。そのうえで、NISTが建物内部の破壊の状況を分析したシミュレーションを紹介し、一連の公式報告は「十分に合理的」と主張した。
グリフィン氏は、「真相究明運動が指摘した初期の頃は、突入箇所が放水により隠れて見えない写真(右下の写真)しかなかったため、誤解が生じた」と回答。。また、穴の大きさは、約5bとしてきた従来の主張は「初期の間違い」として取り下げた。