[反貧困] 非正規労働運動への提言 見えない貧困を見据えて
インタビュー 冨澤集作さん(派遣ネット・関西)
はじめに
10月16日に開催された「反貧困キャラバンin大阪」で、日雇い派遣や貧困ビジネスについて発言した行政書士・冨澤集作さん(30)。「派遣労働ネットワーク・関西」の一員として、労働者の相談にも応えている。1292号でのインタビューに引き続き、派遣労働者の実態について話を聞いた。(集会発言にインタビューを加えて再構成しました。編集部・中桐)
●女性の派遣労働
―現在も、派遣の現場で働いておられますよね。
はい。この7月後半から8月末、日建総業から派遣されて松下(現・パナソニック)のDVDプレイヤー製造工場(門真市)で働きました。その中にも女性が半数以上のラインがありましたが、いま、半数か、あるいは全員が女性である製造ラインが増えているようです。
これは、女性の社会進出とは関係なく、軽量で高性能の製品を作れるようになったので、女性・高齢者・障がい者、また未経験の労働者を「いかに安く使うか」という方向で製造ラインの再編が進んでいるためです。門真の工場でもDVDプレイヤーですからそんなに重くなく、基盤を載せて電動ドライバーで取り付けるだけなので、(非力で技術を持たない)女性でも働けるんです。ほんとうに女性の力を正当に評価しているなら、派遣で使い捨てるようなことはしないはずです。
もともと、女性の労働者もパン工場や弁当の盛りつけなどにパートなどとしてたくさん働いていましたが、それが製造業にも広がっています。一方で、これまで女性がやっていた仕事にも男性が入ってきています。そのほとんどが派遣労働者で、しかも若いフリーターとも限らない。門真の工場のラインでは、全員が派遣で、30代から40代がいちばん多かったです。
●外国人労働者
―行政書士としては、外国人労働者の生活相談や各種許認可代行業務などに携わって、外国人労働者とも関わっておられますね。
在留資格や居住の条件などの制約が加わっているため、「外国人は日本人の貧困の10歩ぐらい先を行っている」状況ですが、ほとんど社会的な問題にならない。これは、女性・高齢者・ホームレス・障がい者などと同じ構造です。社会的に存在するのに、見えない、もしくは見えているのに気づいていない。こういうことが日本のいたる所にたくさんあります。
雇用不安が起こり、さらに派遣業が広がり、「何も知らない」労働者をどこの現場にでも飛ばせるようになりましたが、これまで外国人労働者がやっていたような仕事にも日本人が入ってきて、日本人と外国人との仕事の取り合いまで起こっています。
だからこそ、「見えているのに気づかない貧困」を見据えて、団結して闘っていくことが必要だと思います。