更新日:2008/11/04(火)
[コラム] 奈良・縄文人/へそ曲がりの独り言
ノーベル物理学賞、日本人3人が受賞
こんなの研究して、たんとおカネが貰える学者さんが羨ましいわ。鍛冶屋の職人・我輩も昔、世界で初めての難工事を無事、成功させたんじゃが、誰一人褒めてくれなんだがな。
出来たての南港埋立地への水道管敷設工事じゃった。26号線沿いの直径1.5bの水道本管に、径60aのデッケエ支管を繋ぐ工事じゃった。堺や和歌山へ水送っちょる本管を止めるわけにはイカンので、水を通したまま、その横っ腹へ穴空けて支管を繋ぐ不断水穿孔工事じゃったなあ。
たまたまこの頃、他所の商社から頼まれて、各家庭向けの配管工事できる機械を作っていたんでな、その小さい機械の構造を拡大して、直径60aの穴が空けられるように考えて設計し、南港用の機械をこさえたんじゃ。こんなデッケエ穴空ける工事は世界初じゃったそうな。
当日、水道部の連中15、6人が立ち会いに来ちょったなあ。いよいよ機械を廻す段になって、職人や水道部の連中全員を離れた場所へ退避させ、わが輩1人、回り出した機械の側でな、カッターの切削音を聞き、異常がないか監視してたんじゃ。切削に要した時間、約1時間。我輩タバコも吸わずに、待機してたわ。我輩が設計した機械じゃから、自信は持っていたんじゃが、無事終了した時は正直なところホッとしたねえ。
エンジンを止めて、手回しでカッターを後ろへ戻し、本管とのバルブを閉じて、避難させていた連中全員を呼び戻し、機械をクレーンで降ろしたんじゃが、切り取られた本管の壁を見た時の嬉しさは、今だ忘れられんなあ。水道部の連中も歓声上げてたわ。
かくて、世界初の難工事も無事終了。我輩の名は水道業界に知れ渡ったんじゃよ。でもなあ、大して儲からなんだなあ。呵々。
訳の分からん研究でノーベル賞もらえる学者さんが、羨ましいわ。呵々。
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